仮想通貨関連の活動は米国の銀行システムに重大なリスクをもたらしており、より厳格な監督が必要だと、米国金融規制機関が警告している。

米連邦預金保険公社(FDIC)の年次リスクレビューを発表したが、今回は仮想通貨に関する専用セクションが設けられ、デジタル資産リスクを「新規かつ複雑」と評価している。

「FDICは、通常の監督プロセスを通じて、仮想通貨関連活動への関心が高まっていることを一般的に認識している」とFDICは書いている。しかし、「2022年の大幅な市場の変動」を受けて、仮想通貨関連のリスクを理解するためには、より多くの情報が必要だとしている。

「仮想通貨関連の活動は、米国の銀行システムに対して新規で複雑なリスクをもたらす可能性があり、そのリスクを完全に評価することは困難だ」とFDICは指摘している。

FDICが特定した主要なリスクの一部には、仮想通貨の法的地位についての不確実性、詐欺の可能性、そして仮想通貨ビジネスの相互接続性による伝播リスクや集中リスクが含まれている。また、FDICは仮想通貨の動的な性質と急速なイノベーションが、この分野でのリスク評価の難しさとなっているとも述べている。

さらに懸念されるのは、ステーブルコインの取付リスクの脆弱性で、FDICはこれがステーブルコインを保有する銀行を預金流出に晒す懸念があると述べている。

FDICのレビューは、シリコンバレー銀行(SVB)、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行が1週間の間にすべて破綻したり強制的に閉鎖されたりした3月の銀行危機を受けてのものだ。これら3つの銀行はすべて、米国の仮想通貨業界に銀行サービスを提供していたことで注目されていた。SVBの閉鎖に伴い、ステーブルコイン発行企業サークルが銀行から33億ドル相当の準備金を引き出せないことが明らかになり、USDC(USDコイン)が1ドルのペッグから切り離され、パニック売りが発生した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン