世界中の仮想通貨取引サイトのユーザーが毎日10万人づつ増加していることがわかった。

 コインベース(GDAX)、バイナンス、ビットレックス、ビットスタンプ、クラーケン等の大手仮想通貨取引所の多くが激増する口座開設申請への対応に迫られている。システム増強や新規口座開設の受付を一時停止するといった手段が講じられている。

新規口座開設を一時停止

 今週、日毎一兆円の取引量を処理する仮想通貨取引所大手バイナンスの趙長鵬(ジャオ・チャンポン)CEOは、同取引所において一日で25万人分の口座が開設されていることを明かした。

 趙氏は公式声明の中で「申し訳ないが現状では既存ユーザー対応が最優先。需要が大きすぎる状態で、技術チームとサポートチームを挙げて24時間体制で対応している。直近の24時間で25万人の口座開設があった」とした。

 口座開設申し込みが殺到する中、同取引所は1月4日、新規口座開設の受付を一時停止している。この間ITインフラを増強するためだ。

 昨年12月にはクラーケンとコインベースもカスタマーサポートとシステム増強のための対応に動いている。クラーケンに至っては同社システムの脆弱性を公式に認め、年明けにも引き続き増強を図るとしている。

 世界で二番目に大きい日毎取引量を処理する韓国の仮想通貨取引所ビッサムでも、新規口座開設の受付を停止している。

なぜ最大級の取引所でさえ対応に追われているのか

 2017年後半、韓国第三位の仮想通貨取引所コービットがオンラインゲーム大手のネクソンに約160億円の評価額で買収された。コインベースも直近の投資ラウンドで約1800億円と評価されており、仮想通貨取引仲介ビジネスのバリュエーションが高騰していることが窺える。

 それだけ高く評価され豊富な資金やリソースを有する仮想通貨取引所が口座開設対応に追われるのか。

 原因の一つとして、規制当局から厳しく要求されているKYC(本人確認)とAML(アンチマネーロンダリング)関連の手続きが手間になっているようだ。詐欺的口座と合法的な口座開設を一緒くたにしてしまうと大きな罰金や訴訟につながるので、口座開設の申請資料は多くの場合人手を使って承認しなくてはならないからだ。

 多くの仮想通貨取引所が毎日10万件の口座開設を行っているが、審査にかかる手間も膨大なものになる。一つの口座開設申請の審査に10分かかると仮定すると、一か月で16万6666時間かかる計算だ。

 今後数カ月で、世界中の仮想通貨取引所は大規模なシステム増強を行うことが考えられる。それまでは口座開設自体が難しい状況が続くかもしれない。