バイナンスの創業者兼CEOである趙長鵬氏(通称CZ)が28日、コインテレグラフによる独占取材の中で、法定通貨と仮想通貨間の交換が可能な仮想通貨取引所を東アフリカに位置するウガンダ共和国で間もなく立ち上げることを明かした。

 「バイナンス・ウガンダ」(公式サイト)とされる新取引プラットフォームはバイナンスにとって初の法定通貨と仮想通貨間の取引プラットフォームとなる。扱う通貨はウガンダの通貨であるシリングと主要仮想通貨となるという。

 CZはコインテレグラフに対し、今回の動きは「バイナンスが先進国だけを追いかけているわけではないことを示す」とコメント。さらに

仮想通貨は発展途上国において非常に強いユースケース(実用方法)があると考えている。先進国ではより多くの利益が出る一方で、それ以外の国にも仮想通貨を流通させたいと思っている。

 とした。

 また、バイナンスはアフリカ市場開拓に関心をもっていることも強調。ウガンダにおける試みは現地政府、当局、業界などからの強いサポートを得て「迅速に進んだ」(CZ談)。

ウガンダはとても面白い状況にある。人口の11%しか銀行口座を持っていないことが課題だが、これがかえってチャンスとなっている。だから銀行口座を普及させる努力よりも仮想通貨を通貨として採用するほうが簡単かもしれないのだ。だから(ウガンダにおける試みは)面白い実験となる。アフリカは大きな市場であり、我々がそこに進出しているのもそのためだ。

 ちなみに今回バイナンスは「初めて法定通貨に手を出した」ことから、(今回の事業を)成長させる前にKYC(本人確認)や資金洗浄等に関連する規制をクリアしていく必要があるとした。

 バイナンス・ウガンダは独立した法人となるが、バイナンスが有する既存の取引所プラットフォームとは「強い協業関係」を持つとしている。システム的には、バイナンスのオペレーションやセキュリティ等にかかわる既存のコードと全く同じものを使って別途新たな現地取引所を展開するイメージだ。

バイナンスは次の相場上昇に向け準備中

 今年に入ってバイナンスやその他仮想通貨取引所における取引量が減少していることについては、CZは気にしていないようだった。良い時であろうと、悪い時であろうと「市場は常に過剰反応する」。「(今回のような状況を)毎年のサイクルにおいて5、6回以上多く見てきた」(CZ談)。

 また、仮想通貨市場全体の時価総額が増えていけばボラティリティも安定するとし、バイナンス・ウガンダのような法定通貨から仮想通貨へのチャネルが増えれば時価総額も増えていくとした。

 バイナンスは「次回の上昇期」に備え、現状の100~1000倍の取引量になっても耐えらえるようなシステム更新を行っているという。「いつそれ(次回の相場の上昇)が起こるかわからないが、準備しておく必要がある」(CZ談)。

 また、バイナンスは直近で2~3の拠点を開設する予定。DEXと呼ばれる非集権的な取引所のプロトタイプも引き続き開発中だという。

 バイナンスは仮想通貨取引所として最大手の一つで、これまでの24時間で約7.9億ドルの取引量があった。(データ:コインマーケットキャップ

 CZとのインタビューの全文は、近いうちにコインテレグラフに掲載予定だ。乞うご期待。