「独自のデジタル通貨を検討しないとFRBにとってリスク」 FDICの前議長が警鐘鳴らす

 米連邦預金保険公社(FDIC)の前議長が、米連邦準備理事会(FRB)は中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)を真剣に検討する必要があると8日のYahoo!Financeの論説欄で発言した

 FDICの前議長であるシェイラ・ベアー氏は、「過去10年間で分かったように、経済成長を幅広く刺激することに対して現在の金融政策のツールは向いていない」とし、次のように付け加えた。 

「超富裕層はますます裕福になり、中間層が苦戦している」

 ベアー氏はまず、「ナカモト氏にとっては残念だがビットコインは決済手段として悲惨なまでに失敗した」としてビットコインなど仮想通貨が金融政策のツールとして役立つことを否定。その上でFRBにより発行される架空のデジタル通貨「Fedコイン」を提唱した。ベアー氏によると、FedコインはFRBに発行されるので「定義上、常に金融債務の履行が可能」で金融危機の時に銀行経営を助けると話した。またベアー氏は、Fedコインがあれば当座預金口座が必要なくなり、維持費用や銀行による手数料などを削減できるかもしれないとみている。しかしベアー氏は、銀行口座からCBDCへの大規模なシフトは、銀行の融資の裏付けが預金である現状、経済に深刻な悪影響を及ぼすかもしれないと警鐘を鳴らした。

このようにベアー氏は、CBDCの導入は「銀行システムにとって悪い」だけでなく現在通貨の発行権を独占しているFRBにとっても驚異的としつつも、FRBは「CBDCを保有することの相対的なメリットを真剣に調査する必要がある」と話した。

「もしFRBがこの技術を先駆けて導入できないと、銀行システムが脅かされるだけでなく、FRB自体もリスクにさらされるかもしれない」

 現在様々な国がCBDCの導入を検討している。5月末にはイングランド銀行がCBDCに関するワーキングペーパーを公表し、先週はタイの中央銀行がCBDC導入を検討していることを明らかにした