欧州委員会(EC)のアンドルス・アンシプ副委員長は、欧州が人工知能(AI)とブロックチェーン技術において、世界的なリーダーとなるよう呼び掛けた。ブリュッセルで開催された欧州委員会の「デジタルデー2018」で10日に演説した

 アンシプ氏は、欧州には「世界トップレベルのAI研究コミュニティが存在する」と主張した。また、欧州はブロックチェーン分野においても「指導的な役割を果たすのに最適な位置にいる」と述べた。

 デジタル技術に関してリーダーシップを発揮する必要性を指摘しながら、アンシプ氏は欧州委員会に欧州のテクノロジー分野を「政治的にも経済的にも」支援するよう促した。アンシプ氏は、すでに「実験段階を脱し、表舞台に出ている」成長の著しいブロックチェーン技術分野に欧州連合(EU)の政府が貢献すべきであることを強調した上で、欧州地域には明らかに競争相手がいることを付け加えた。

「欧州は、AIとブロックチェーンの分野で指導的な役割を果たすのに最適な位置にある。政治的にも経済的にも、投資を行う必要があるのは明らかだ。遅れを取り戻すべき部分もかなりある。他の大陸はより速いペースで前進している」

 アンシプ氏は、EU政府による財政支援の重要性を強調し、技術開発には適切な条件とインフラが必要であり、「そのどちらもタダでは手に入らない」と述べた。

 アンシプ氏は、「デジタル単一市場(DSM)が、人々や企業の役に立ち、我々のデジタル分野の優先事項に向かって前進し、欧州がデジタル分野で世界をリードすることを確保するようになるには、資金が必要だ」と強調した。

 欧州委員会は3月、クラウドファンディングやブロックチェーン技術の基準を含む、フィンテック分野に関する共同の規制の枠組みを作る計画を明らかにした。2月には、欧州委員会は、分散型台帳技術(DLT)をEU圏の経済活動に適用することを目指す「EUブロックチェーン・オブザーバトリー&フォーラム」を立ち上げることを発表した。