仮想通貨に詳しいeToroのシニアアナリストであるマティ・グリーンスパン氏は10日、コインテレグラフ日本版のインタビューに答えて、年末にかけて仮想通貨相場の不透明感は高く、ビットコイン(BTC)は1000ドルにも5万ドルにもなり得ると話した。その上で、投資家は伝統的な金融市場にも注意を払い他の金融資産にも投資をしてリスクを分散すべきと提案した。

 グリーンスパン氏は、2008年の金融危機以来、米国連邦準備制度理事会(FRB)や日銀による大規模な金融緩和策が世の中に金余りの状態を作り出し、株や仮想通貨などリスクの高い資産にマネーが流れる傾向が強まっていて、2017年はそのピークだったと解説。「一般的に仮想通貨市場と他の市場の相関関係は低く、例えば金との相関関係はほぼ0」だが、最近の株式市場との相関係数は0.3と比較的高いという。

 一方、今年の相場は方向感を失っていて、米国証券取引委員会(SEC)など規制機関の動向に不透明感が漂っている為、グリーンスパン氏は、「年末にかけてビットコインは1000ドルから5万ドルの間のどこに落ち着いても驚かない」と発言。現時点でどちらに触れるかは分からないので、この不透明な時期を乗り越える強固なポートフォリオを作るために、仮想通貨以外にも株や債券、ETFなどに分散投資をした方が良いと提案した。ちなみにグリーンスパン氏のポートフォリオにおける仮想通貨の割合は6%で、他には金や銅のほか、ゴールドマンサックスやIBM、ツイッターの株などを保有している。

日本市場との関係

 グリーンスパン氏は、「これは私の理論であって証明はできない」と前置きした上で、仮想通貨市場は日本の金融市場の動きに左右されるのではないかと主張。7月の最終週に日銀が金融緩和策を修正するという観測が流れた結果、日本の長期金利が上昇。債券は価格が下がると利回りが上がる。グリーンスパン氏は、日本の投資家は国債を売って手元に残った資金をビットコインなど仮想通貨に投資したのではないかと予想した。

 「日本のトレーダーは何が起きているか知っているようだ!
今週初め、日本の長期金利(青線)は日銀が動くのではという観測によって急上昇。ビットコイン(緑)もそれ以降、急騰している。
もし、中央銀行があなたのお金の価値を下げるようなことをしたら、あなたはどうしますか?」

 グリーンスパン氏は、日本の長期金利とビットコイン価格の関係は伝統的な金融市場が仮想通貨市場にも影響を与えることを示す一つの証拠になると考えていて、今後も日銀の動向は注視すると話した。

 またグリーンスパン氏は、仮想通貨市場の分析のために円の先物市場に注目している。

 「もし私が日本に住んでいて、将来に渡って安倍首相と日銀の黒田総裁が円安を進める政策を続けたら、円で貯金をし続けるのではなくて、ビットコイン投資を始めるだろう。例えそれが1%だったとしても、日本の経済は大きいから、仮想通貨市場に対する大きな資金流入になるだろう」

 eToroは、ソーシャルネットワーク上で利用者同士がお互いのポートフォリオを見られるソーシャルトレーディングネットワーク。投資戦略を共有したりコピーしたりできるのが特徴だ。日本ではまだ利用可能になっていない。

 

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