2月の最初の9日間でイーサ(ETH)の価格は10%上昇し、3週間ぶりに2450ドルを超えた。この値動きは、仮想通貨市場全体の強気な動きと一致し、マクロ経済環境の影響を大きく受けている。
イーサリアムネットワークへのデポジットが増加するにつれて、投資家の強気な見方が高まっている。しかし、この勢いが2800ドルを超える持続的な上昇に十分なのだろうか。
経済データの弱さがリスク資産にチャンスもたらす
2月4日、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長はインタビューで、より持続可能な公的債務に向けた道筋が必要だと強調した。2023年の米国の債務返済コストは国内総生産(GDP)の2.4%を占め、議会予算局の報告によると2034年には3.9%に増加する見込みだ。こうした予測が、FRBの政策金利引き下げを促すと、ネットメディア「アクシオス・マクロ」のニール・アーウィン氏は指摘している。
伝統的な金融投資家は、中国の1月の購買担当者景気指数(PMI)が4か月連続で製造業活動の縮小を示したことでさらなる懸念に直面。中国人民銀行が預金準備金率の引き下げを発表し、中国政府は低迷に苦しむ不動産市場を支援するための措置を導入したとAPニュースは報じている。
投資家は一部の債券ポジションを売却しており、その結果2年物米国債利回りは2月1日の4.21%から2月9日には2か月ぶりの高水準である4.48%に上昇した。同時に、S&P500指数は2月9日に5000ドルを超えて過去最高値を記録している。これは、少なくとも短期的には潜在的な経済危機に対する投資家の過度な懸念がないことを示している。それでも、FRB議長によって強調された米国の債務問題は、ETHのような希少な代替資産にとって理想的なシナリオを作り出している。
この動きは、株式市場がリスクオン資産の大部分の流れを引き受けているため、仮想通貨にとって課題をもたらす。しかし、同時に、チップメーカーのエヌビディア(NVDA)や電子商取引の巨人アマゾン(AMZN)など、一部の株式が2024年の利益の33倍という、S&P500平均の22倍を大幅に上回る価格で取引されているため、代替投資への扉も開く可能性がある。
イーサリアムネットワークの活動
ETHの2月の価格上昇がETHに対する持続可能な需要に支えられているかを評価するためには、イーサリアムネットワークのオンチェーン活動をチェックする必要がある。
ネットワークのスマートコントラクトのデポジットは、ロックされた総価値(TVL)によって測ることができる。2月9日には11か月ぶりの高水準である1600万ETHに達し、前月から19%増加した。しかし、その増加の大部分は、前月の11億5000万ドルから2月9日には58億5000万ドルにTVLが急増した流動性ステーキングソリューション「アイゲンレイヤー」によるものだ。

TVLで大きな増加を見せているのは、流動性ステーキングアプリケーションであるマントル・ステイクドETHやether.fi、イールドファーミングサービスのペンドルもある。重要なのは、イーサリアムネットワークは手数料において絶対的なリーダーの地位を維持していることだ。例えば、DefiLlamaによれば、イーサリアムの24時間の手数料は1040万ドルで、トロンの8倍、BNBチェーンの12倍以上となっている。
イーサリアムの既存のユースケースだけでなく、ETH投資家にとっての別の楽観論の源は、ERC-404と呼ばれる潜在的な新しい非代替性トークン(NFT)フォーマットにある。この方法は、現在のERC-721標準内での分割機能を可能にする。初期段階にあるが、この有望な提案はセクター活動を強化し、ETHへの需要をさらに刺激する可能性がある。さらに、3月13日に予定されているデンクンネットワークアップグレードは、レイヤー2ロールアップのトランザクションコストを削減するなどの利点をもたらす。
株式に代わる代替投資を求める投資家の潜在的な関心と、イーサリアムネットワークの継続的な成長と開発を考えると、ETH投資家は明らかに最近の10%の価格上昇や2650ドルで直面するレジスタンスについて不安を感じていないだろう。1月11日にETHが最後にこの価格帯をテストしたときよりも、値動きはより強いもののように見える。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自分でリサーチを行って決定してください。