米国でイーサリアム上場投資信託(ETF)にステーキングが認められれば、機関投資家の資金が大規模に流入し、ビットコインETFの存在感を脅かす可能性がある――アナリストらはそう予測している。

10xリサーチの調査責任者マーカス・ティーレン氏はコインテレグラフに対し、「ステーキングが加わればイーサリアムETFの利回りは上昇し、市場構造を劇的に変える可能性がある」と語った。

米証券取引委員会(SEC)は現在も、ETF発行者によるステーキング付きイーサリアムETFの申請を審査中である。今年初めから複数の発行者が許可を求めて申請を行っている。

ETFアナリストでノバディウス・ウェルスマネジメント社長のネイト・ジェラシ氏は、Xへの投稿で「SECがナスダックによるブラックロックのiシェアーズ・イーサリアムETFへのステーキング追加申請を受理したことから、次に承認されるのはこのステーキングかもしれない」と指摘した。

ステーキングが認可されれば、イーサリアムETFへの関心が上昇

ティーレン氏は、ステーキングによる利回り上昇がイーサリアムETFの需要を大きく押し上げると予測する。同時に、イーサリアムのオプション市場も活発化する可能性があるという。

ティーレン氏によれば、すでに現物ETFとイーサリアム先物の間では「ベーシストレード」が年率7%の利回りを生んでいる。この状況に、さらに3%のステーキング利回りが上乗せされれば、魅力は一段と高まる。

「レバレッジなしでも10%の利回りが期待できる。2~3倍のレバレッジをかければ、機関投資家は年率20~30%のリターンを見込める」と同氏は述べる。

「これは機関投資家の資本がイーサリアムに流入する構造的転換であり、利回りを起点とした新たな参加の時代が始まることになるだろう」

ETFを魅力あるポートフォリオに変える

オーストラリアの仮想通貨投資運用会社マークルツリー・キャピタルで最高投資責任者を務めるライアン・マクミリン氏も、機関投資家にとって「利回り」は投資判断の最重要要素だとコインテレグラフに語った。

年金基金のような機関投資家は、キャピタルゲインよりも安定的で予測可能なインカム収入を重視する傾向があり、利回りがボラティリティを下げると評価されるケースも多いという。

「ビットコインがデジタル・ゴールドだとすれば、イーサリアムはステーブルコインの基盤だ。そのうえで、イーサリアムETFにはビットコインにはない利回りがある」とマクミリン氏は述べた。

「3~5%の利回りが期待できるのであれば、成長性とあわせて、イーサリアムETFはポートフォリオにとって非常にユニークで魅力的な選択肢になる」

流動性やオンチェーン参加も活性化へ

クロノス・リサーチの最高経営責任者ハンク・ファン氏は、コインテレグラフの取材に対し「現物ETFにステーキング機能が加われば、秘密鍵を触らずにオンチェーンで利回りを得たい機関投資家にとってはゲームチェンジャーになる」と語った。

「資産の成長に加え、利回りも得られるイーサリアムETFが登場すれば、需要は一気に高まり、流動性が向上し、オンチェーンでの関与も活発化する」とファン氏は述べる。

さらにファン氏は、ステーキング報酬と柔軟な出金を両立させたETFが登場すれば、暗号資産を伝統的金融に統合するうえで「新たなゴールドスタンダード(業界基準)」になると予測した。

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