イーサリアム(ETH)の価格は4月18日から21日にかけて13.7%の調整となったが、過去3週間で1,820ドルを維持している。より広い時間軸を分析すると、イーサリアムは3か月で20.8%上昇し、S&P500株価指数が横ばいであることがわかる。しかしETHのオプションと先物の指標によれば、その上昇はプロの投資家を強気にさせるには十分でないようだ。

2023年における仮想通貨の好調な勢いは、悪化するマクロ経済の状況によって引き起こされており、その中には現在進行中の銀行危機も含まれている。ビットメックスの元CEOであるアーサー・ヘイズ氏によれば、政府がファースト・リパブリック銀行の救済を拒否すれば、破綻の危険な連鎖反応が起こり得る。

米国経済が第1四半期に年率換算で1.1%という予想された2%を下回る成長となったことで、リセッションのリスクが意識されるようになっている。一方、個人消費支出物価指数が第1四半期に4.2%上昇し、インフレが経済に悪影響を及ぼし続けている。

クジラやマーケットメーカーからの弱気の動きを引き起こしているのは、イーサリアムネットワーク上での2月以降の総ロック額(TVL)の減少と、平均取引手数料が4ドルを超えていることだ。DefiLlamaのデータによれば、イーサリアムの分散型アプリケーションは4月24日に1530万ETHのTVLに達した。それは6か月前の2200万ETHと比較して30%の減少だ。

イーサリアムが2,000ドルを上回ることができなかったのは、5月3日に再び米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げをすることを予想するトレーダーがいたためかもしれない。利上げにより、固定収益投資が魅力的になり、企業や家庭は借金のリファイナンスに追加費用がかかり、ETHを含むリスク資産に対して弱気な環境が生まれる。

イーサリアム先物は買い意欲の減少を示す

イーサリアムの四半期先物は、クジラやアービトラージ(裁定取引)デスクの間で人気がある。しかし、これらの固定月契約は通常、売り手は決済を遅らせるために現物市場に対してプレミアムで取引されていることが多い。

そのため、健全な市場では先物契約が年率換算で5%から10%のプレミアムで取引される。これはコントンゴと呼ばれる状況であり、仮想通貨市場に特有のものではない。

Ether 3-month futures annualized premium. Source: Laevitas

過去数週間、イーサリアムのトレーダーは慎重であり、4月14日の2,100ドルを超える最近の上昇にもかかわらず、レバレッジをかけたロングへの需要が急激に増えることはなかった。

さらにイーサリアム先物のプレミアムは4月1日のピーク時の4.7%から現在の1.8%に悪化している。これは、買い手がレバレッジをかけたロングを避けており、先物契約を利用したショート(弱気)ポジションへの需要が一定程度であることを示している。

オプションのトレーダーはまだ慎重か?

トレーダーはオプション市場も分析し、最近の調整が投資家たちがより楽観的になる原因となったかどうかを理解するべきだ。25%デルタスキューは、アービトラージデスクやマーケットメーカーが弱気か強気かを測る際の指標の1つとなる。トレーダーがイーサリアム価格の下落を予想する場合、スキュー指標は7%を超える。強気の局面では、マイナス7%のスキューが見られることが多い。

Ether 30-day options 25% delta skew: Source: Laevitas

現在、オプションのデルタ25%スキューは保護的なプットオプションと強気なコールオプションの間でニュートラルとなっている。しかし、4月24日から26日にかけて、指標は一時的に7%を超える水準を維持しており、急激な価格調整が最も可能性の高いシナリオとしてトレーダーたちが恐れていた。

この変化はわずかな自信の増加を示しているが、過去4週間25%オプションスキューによれば、やや不安のあるセンチメントが優勢だったといえるだろう。

本質的に、イーサリアムのオプションと先物市場は、プロのトレーダーが1週間前より自信を持っていないが、過度に悲観的ではないことを示している。その結果、もしETH価格が2,000ドルを上回ると、それは多くの人にとって驚きであろうが、同時に指標はストレスの兆候を示していない。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン

 

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