ビットコイン(BTC)は一時的に1万ドルを回復するなど堅調な上昇を続けている。しかし、第2四半期(4−6月期)に仮想通貨業界で注目を集めたキーワードは、「ビットコイン」でも「新型コロナ」でもない。「DeFi」だ。

特に最近では、多くのDeFiの基盤となっているイーサリアムの動向に注目が集まっている。

イーサ (ETH)は心理的な節目となる300ドルを突破して年初来の高値を更新した。イーサリアムのメインネット立ち上げ5周年記念日が3日後に迫る中、イーサの続伸が続くか注目される。

(出典:Coin360 「イーサ(ETH)/米ドル(全期間)」)

執筆時点でイーサは320ドル付近で推移している。2019年6月以来、約1年ぶりの高値だ。

7月30日は、イーサリアムのメインネット立ち上げから5年が経過する。スケーラビリティ改善を目指すイーサリアム2.0が早ければ11月4日に立ち上がる可能性がある

最近はイーサリアムを基盤にしたDeFi(分散型金融)の躍進が目立っているが、2017年のICO(イニシャル・コイン・オファリング)の時のように直接的にイーサ の価格押し上げ効果はないという見方も出ている。

ICOバブルのデジャブ?

韓国の仮想通貨(暗号資産)・ブロックチェーン分野のリサーチ企業Xangleは、「DeFiは2017年のICOマーケットブームのデジャブか?」というレポートの中で、一部の統計的に最近のDeFiブームと2017年のICOバブルが似ていると報告している。

とりわけXangleが注目したのは、アクティブアドレス数と新規アドレス数の増加率。2017年から2018年にかけての強気相場の時の増加率と似ていると指摘した。

(出典:Xangle 「イーサリアムのアクティブアドレス数と新規アドレス数(ICOバブル時と現在の比較)」)

またXangleは、イーサリアムの取引数と取引手数料の四半期ごとの伸び方もICOバブル時と似ていると指摘している。イーサリアムの取引数は第2四半期に62%、取引手数料は688%も増加した。

DeFiは本物か?

ただ、イーサ の価格はICOバブル時に1396ドルまで急騰。今年は直近で320ドル近辺までの上昇で止まっている。

ブロックチェーン分析企業メサーリ共同創業者のライアン・セルキス氏もイーサリアムのアクティブアドレス数について「どのくらい多くのユーザーがイーサリアムと関わりを持っているかを推測する指標」として重要視。年初来で2倍増加し、ICOブーム以来となる7日移動平均で50万を突破したと指摘した。

セルキス氏は、背景にあるのはやはりDeFiへの熱狂と分析。「このような熱狂はしばしば短命に終わるが、新たなユーザーの流入によってDeFiプロジェクトに十分な流動制がもたらされることで、最後の審判の日までプロダクトを改善する時間を得られるかもしれない」と述べた。

セルキス氏は、以前、DeFiブームを第2のICOブームに例えつつもイーサ 価格は上昇しないだろうと予想。ICOと異なりDeFiトークンはイーサを購入しなくても参加できることを理由に挙げていた。

コインベースなど取引所では、ステーブルコインや単純に銀行口座を使ってCOMPなどDeFiトークンを購入できるという。