上場投資信託(ETF)や企業による需要拡大を受け、中央集権型取引所におけるイーサリアム(ETH)の準備金が過去3年で最低水準に落ち込んでいる。
クリプトクオントのデータによると、ETH準備金は2022年9月の約2880万ETHをピークに、これまでに約1070万ETH減少し、現在は約1740万ETHとなっている。過去3か月間だけでも約250万ETHが取引所から流出した。
供給減少の一因は、新たなETH投資チャネルの拡大だ。コイングラスのデータによれば、2024年7月に開始された現物イーサリアムETFは、これまでに130億ドル超の純流入を記録した。6月から8月にかけて100億ドル超の資金が流入し、特に7月には過去最高の54億ドルが流入した。
企業のトレジャリー戦略も需要を押し上げている。複数の上場企業が直近数か月でETH準備金を導入しており、定期的な購入が取引所の供給に影響を与えている。
トレジャリー企業によるETH準備金の拡大
2025年、シャープリンク・ゲーミングは最初期にETH準備金戦略へと舵を切った上場企業の1つとなった。同社は4億2500万ドルの資金調達を背景に5月に準備金戦略を開始し、8月末時点で79万7704ETH(約35億ドル相当)を保有している。
7月にはビットマイン・イマージョン・テクノロジーズもこの流れに加わり、約186万ETH(総供給量の約1.6%)を蓄積したことを公表した。さらに9月にはイーサマシンが49万5000ETHの保有を発表し、ナスダック上場を控えている。
イーサリアム・トレジャリーズのデータによると、現在少なくとも17社の上場企業が合計360万ETH以上をバランスシートに計上している。
ビットフィネックスのアナリストはETHが準備資産として注目される理由について、「ビットコインとは異なり、ETHはマクロ資産であると同時に生産性資産でもあり、ステーキングを通じて利回りを生み出し、L2やDeFiにおいて1000億ドル超のトークン化資産を担保している」とコインテレグラフに語った。
ETFによるイーサリアムの吸収
企業の準備金に加えて、イーサリアムは現物ETFによっても吸収されている。2024年に米国で上場した当初は需要が鈍かったが、2025年7月以降、規制環境の改善を背景に機関投資家の関心が再燃した。
その中核を担っているのがブラックロックのiシェアーズ・イーサリアムETF(ETHA)であり、火曜日時点で160億ドル超の資産を抱える史上最速級の成長を遂げたETFとなっている。
コインマーケットキャップのデータによると、現物イーサリアムETF全体の運用資産残高は約240億ドルに達している。
シグナムの最高投資責任者ファビアン・ドリ氏はコインテレグラフに対し、「ビットコインに比べて長期的な不振と投資家心理の悪化を経て、イーサリアムは採用率と価値提案の両面で重要な復活を遂げている」と語った。
ドリ氏によれば、ステーキングはイーサリアムETFの次なるフロンティアである。
「もし現物ETH ETFが保有資産をステーキングできるようになれば、規制下で上場する確立された枠組みの中で追加利回りを獲得できることになり、商品としての魅力が高まり、さらなる資産流入を呼び込むだろう」
実際、複数のETF発行者が最近、イーサリアムETFにステーキング機能を追加する動きを見せている。ブラックロックはナスダックを通じてiシェアーズ・イーサリアムETFへのステーキング追加を申請し、フィデリティもイーサリアムETFの一部資産をステーキングできるよう提案を修正した。
米証券取引委員会は10月に最終申請期限を迎える際に、こうしたステーキング機能の可否を判断する見通しだ。
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