イーサリアム(ETH)は火曜日から木曜日にかけて9%上昇し、2600ドルに迫ったが、この水準を明確に突破するには至らなかった。上昇局面では、「ゴールデンクロス」と呼ばれる強気のテクニカルパターンが確認され、これが3200ドル(1月以来の高値)への再接近を後押しするとの見方も出ている。しかし、デリバティブ市場のデータをみると、ETHトレーダーがそのような強気一辺倒ではないようだ。
Xユーザーのマーライン・トレーダー氏は、水曜日に形成されたゴールデンクロスについて「強気市場が始まる典型的なポイント」と指摘し、短期的なモメンタムが長期平均に対して優位に立ってきたと述べた。同氏は「ETHは次の強気相場が近いことを明確に示している」とも主張した。
デリバティブ市場はETHの上昇に懐疑的
木曜日にETHが2600ドルまで上昇したにもかかわらず、レバレッジをかけたロングポジションへの需要は特に増加しなかった。通常、市場が中立であれば、先物契約は決済期間が長いため、スポット価格よりも5〜10%程度の年率プレミアムで取引される。
だが現在、ETH先物のプレミアムは依然として5%を下回っており、市場が中立を超えて強気に傾いているとは言いがたい。この指標が最後に強気を示したのは1月26日で、ETHは当時3300ドル付近で取引されていた。この日はちょうど、ソラナ上で「オフィシャル・トランプ(TRUMP)」というミームコインがローンチされ、ソラナの取引量と収益を大幅に押し上げたタイミングと重なる。
Xユーザーのクリプチューンズ氏は、ソラナ上の分散型アプリケーション(DApp)がイーサリアム上のDAppよりも13億ドル多くの収益を生み出したと指摘した。
とはいえ、これはイーサリアムのレイヤー2スケーリング戦略を考慮していない単純な比較だ。現在、多くのDApp収益はBase、アービトラム、ポリゴン、オプティミズム、アンチェーンといったレイヤー2へと流れており、ソラナが抱える最大抽出可能価値(MEV)の問題も批判の的となっている。MEVとは、バリデーターが自らの利益のために取引順序を操作できる仕組みのことだ。
XユーザーのR89キャピタル氏は、「イーサリアム支持者は、企業がレイヤー2上に構築を進めるという点では正しかったが、それがETH価格に強気材料になるという点では間違っていた」と指摘する。つまり、ロールアップ型のレイヤー2はデータ処理コストが非常に低いため普及は進むが、ETHそのものへの需要は必ずしも喚起されない。
コインベースのプロトコル・スペシャリストであるヴィクトル・ブニン氏は、イーサリアムのレイヤー2同士の相互運用性の欠如が大きな障壁になっていると指摘している。「大手プレイヤーが協力するためのインセンティブが存在しないため、各プロジェクトが孤立的に動いている」とし、イーサリアム財団による積極的な関与がなければ、本質的な進展は難しいとの見方を示した。
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ソラナETFがETHの地位を揺るがす可能性も
プロトレーダーがETHの上昇に対して自信を失っているかを測るには、オプション市場のデルタ・スキューが参考になる。市場が弱気である場合、プット(売る権利)の価格がコール(買う権利)よりも高くなり、6%以上の水準を示すことが多い。
現在のETHオプション・スキューは1%にとどまっており、価格が上にも下にも動く可能性が同程度と市場が見ていることを示している。この水準は前週から変化していない。
こうしたデリバティブ市場の慎重な姿勢は、ETHが3200ドルの水準を回復する可能性に対する信頼が薄いことを裏づけている。この慎重姿勢の一因として、米国で水曜日にローンチされた初のソラナ・ステーキングETFの影響が挙げられる。
ソラナETFは、アルトコインにおけるETHのリーダー的地位を揺るがしただけでなく、ステーキング機能を組み込むことで、ETFとしての価値を一段と高めた。イーサリアムがトークン化や機関投資家の導入によって、ETH保有者に直接的な利益をもたらす仕組みを提供できなければ、目先での力強い上昇は難しいかもしれない。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
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