エストニアの金融規制当局は、規制体制を見直す中で、すべての仮想通貨取引所ライセンスを取り消すことを望んでいる。

国営通信社Eesti Ekspressの13日の報道によると、エストニアの金融規制当局である金融情報ユニット(FIU)の責任者マティス・メルケル氏は、「規制をゼロにして、ライセンス取得を一からやり直す」よう国に求めているという。

メルケル氏は、一般の人々は仮想通貨業界のリスクに気づいていないと主張。元金融監督・解決局のマネーロンダリング防止部門の責任者である同氏は、マネーロンダリングやテロ資金調達などの違法活動や、ハッキングに対する業界の脆弱性など、関連する多くの懸念事項を指摘し、次のように述べた。

「これらのリスクは非常に高いものだ。迅速に対応する必要がある」

現在、エストニアでは約400社がバーチャル・アセット・サービス・プロバイダ(VASP)のライセンスを取得している。メルケル氏によると、これはEU全体で付与されているVASPライセンスの総数よりも多いという。同氏によると、企業がライセンスを利用して「非常に大きな金額を回しているだけで、エストニアは何も得られない」と非難した。

現在の状態では、エストニアの仮想通貨産業は、市民に雇用を創出することも、同国の税務当局に「重要な何か」を貢献することもない、と同氏は指摘した。

メルケル氏は、仮想通貨企業に現金または有価証券で最低35万ユーロ(40万4,000ドル)の保有を義務付けることを含め、業界に厳格な資本要件を導入することを提案した。現在、業界のスタートアップ企業が必要とする自己資本は、わずか1万2,000ユーロ(1万3,800ドル)と言われている。

また同氏は、投資家の保護を強化するために、仮想通貨関連企業に対してより安全なITシステムの構築を要求することや、不動産の借り換えなどの選択肢ではなく、現金以外の投資を受け付けることを禁止することも提案している。