トランプ大統領の息子であるエリック・トランプ氏は、ブロックチェーンネットワーク「トロン」の米国上場計画に関与しているとの報道を否定した。一方で、同プロジェクトの創設者ジャスティン・サン氏に対しては肯定的なコメントをした。
エリック氏はXで「自分はトロンの最大のファンだ」と述べ、サン氏を「仮想通貨業界における偉大な友人であり、アイコンだ」と評した。
しかし、英フィナンシャル・タイムズが報じたトロン上場計画への関与という内容については否定した。
トロンはナスダック上場企業SRMエンターテインメントとの株式交換による逆さ合併を通じて、米国での事実上の上場を目指している。
この取引の一環として、SRMは社名を「トロン株式会社(Tron Inc.)」に変更し、1億ドル規模の資金調達によって、トロン(TRX)の資金準備金を確保する方針だ。
エリック・トランプ氏とジャスティン・サン氏のビジネス的な関係は少なくとも2024年11月まで遡る。このときサン氏は、仮想通貨プラットフォーム「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」の最大出資者となり、3000万ドル分のWLFIトークンを購入している。
トランプ家は暗号資産事業を本格展開
エリック氏は、トランプ家が関与した仮想通貨プラットフォーム「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」の主要な着想源ともされており、同プラットフォームは2024年大統領選を前に注目を集めた。
最近の規制当局への開示資料によれば、トランプ大統領はWLFIトークンの販売を通じて5740万ドルの収益を得ており、同プラットフォームはトランプ家にとって重要な財源となっている。
さらに、トランプ家は今年に入り、ビットコイン採掘会社アメリカン・ビットコインに出資している。この会社はライフォン・デジタル・マイニングとの合併を通じて上場を目指している。米証券当局への提出文書によれば、このアメリカン・ビットコインは4月以来、215BTC(約2330万ドル相当)を買い増している。
エリック・トランプ氏はビットコインを戦略的に重要な資産と位置付けている。5月に開催された仮想通貨カンファレンスに登壇した際には、「今や世界中の人々がビットコインを買い集めようとしている」と指摘。「ソブリン・ウェルス・ファンドからも、世界の富裕層からも、大企業からも、そうした声を聞いている」と語っていた。
一方で、トランプ家による仮想通貨事業への関与については米議会からの批判が強まりつつある。野党の民主党からはトランプ氏の大統領権限と親族の仮想通貨ビジネスとが利益相反にあたると指摘されている。