仮想通貨イーサリアム(ETH)の企業利用を推進する団体「イーサリアム企業連合(EEA)」は、イーサリアム財団開催の開発者向けカンファレンス「Devcon 5」において、同団体が策定した2つの標準仕様に関するセッションを実施すると発表した。EEA標準仕様が、トークンベースのブロックチェーン経済にどのように貢献しているか明らかにするという。

また標準仕様の新バージョンとして、「EEA エンタープライズ・イーサリアム・クライアント仕様 V4」、「EEA オフチェーン・トラステッド・コンピュート仕様 V1.1」が発表された。EEAウェブサイトで無料でダウンロードできる。

EEA エンタープライズ・イーサリアム・クライアント仕様は許可型(Permissioned型)ネットワークの構築を扱ったもので、最新仕様(V4)では貢献メンバーの実装経験に基づきプライバシーと許可の仕組みについて最適化を行った。

「EEA オフチェーン・トラステッド・コンピュート仕様 V1.1」は、メインネット上のスマートコントラクトがデータ保護・セキュリティを損なうことなく、計算負荷の高い処理をオフチェーンで扱う方法などを策定したものという。この仕様は、「ハイパーレジャー・アバロン(Hyperledger Avalon)」および「トラステッド・コンピュート・フレームワーク(TGF)」と呼ばれるプロジェクトの開発で採用されている。

アバロンは、インテル製CPUに搭載されているハードウェア支援型のメモリー暗号化機能「インテル SGX」、マイクロソフトのクラウドサービス「アジュール」、コンセンシスのエンジニアチーム「ペガシス(PegaSys)」が開発するEEA エンタープライズ・イーサリアム・クライアント仕様準拠の「ハイパーレジャー・ベイス(Hyperledger Besu)」の組み合わせで利用可能という。

トークンシステムを採用

Devcon 5のセッションでは、EEA オフチェーン・トラステッド・コンピュート仕様に準拠した実用的なプロトタイプシステムを使ったデモを初めて行う予定。このシステムは、EEA活動への参加促進という目的の下、評判・報酬・ペナルティの3種類からなるトークンを積極的活動への動機付けや、罰則適用に利用したものとなっているそうだ。

インテルのブロックチェーン・プログラム・マネージャーのマイケル・リード氏は、コインデスクに対して次のように述べた。

「どのようなコンソーシアムでも、チームワークの促進に実際に適用できる。1つの例は、EEAのようなソフトウェア開発コンソーシアムだ。EEAでは、仕様の編集と貢献、コードの開発と追加などの活動を動機付けようとしている。また、貢献の欠如、レビューの欠如、期限の遅れなど、否定的なものに罰則を適用できる」

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版