韓国で開催されたBuidl Asiaイベントで、分散型ソーシャルメディアが中心的なトピックの1つとなる中、コインテレグラフはオンラインでイーサリアムネームサービス(ENS)の開発者である井上真氏と話し、Web3ソーシャルメディアや、それがWeb2を置き換える可能性、そしてENSとメタバースがこの新しいソーシャルメディアパラダイムで果たす役割について詳しく聞いた。

井上氏によれば、Web3は「本質的にソーシャルで分散型」だ。同氏は、ブロックチェーン上に構築されているため、すべてが透明であると強調した。これにより、ブロックチェーンはオンラインソーシャルネットワークの関係の相互接続性を表すために一般的に使用される「ソーシャルグラフ」となる。

「すでに本質的にパーミッションレスであり、ソーシャルである。そこにENSが関与している。透明であるが、アドレスは人間が読める形式だ。そして、ENSの名前が関連付けられることで、ソーシャルグラフになる」と井上氏は語った。

ENS developer Makoto Inoue dives deep into Web3 social media. Source: Cointelegraph

同氏はまた、物事を「理解しやすく」する必要がある場合、ENSが登場すると付け加えた。これにより、開発者が「アイデンティティ・トレイル」と呼ぶものが作成される。彼は次のように説明している。

「どこで人々がブロックチェーンを使い始めるか、特に署名する場合にウォレットアドレスを使わなければならない場合、それはあなたのアイデンティティになる。それはあなたのアイデンティティ・トレイルだ。そして、私たちはこのアイデンティティの歴史をより目に見えるようにしている」

また井上氏は、分散型ソーシャルメディアのパラダイムの中では、ユーザーの邪魔をするようなエンティティは存在しないと語った。従来のソーシャルメディアと比較して、プラットフォーム内で誰も止める権利を持つエンティティは存在しない。彼は次のように説明している。

「ツイッターが最初に登場したとき、開発者たちが望むものは何でも構築するという熱意に満ちたエコシステムがあった。しかし、それが実際にはツイッターの収益を奪っていることがわかれば、彼らはそれを止める権利がある」

2月2日、ソーシャルメディア大手のツイッターは、ツイッターAPIを使用し、プロジェクトに統合する開発者に対して料金を請求することを発表した。6月1日には、ソーシャルフォーラムのRedditが、かつて無料だったものに対して支払いを求めるTwitterの方針に追随し始めた。井上氏によれば、Web3では本質的にパーミッションレスであるため、このようなことは起こらないだろう。

コインテレグラフは、古いWeb2ソーシャルプラットフォームを置き換えるWeb3ベースのソーシャルメディアの可能性についても井上氏に尋ねた。しかし、井上氏は、Web3がそれらを完全に置き換えるのではなく、それらを強化し改善する方法を提供するという考えを示した。「Web3テクノロジーは、Web3のようなニーズを完全に置き換えるというよりは、Web1やWeb2にすでに存在するものを強化するために使われると思う」と彼は説明した。

分散型ソーシャルメディアにおけるメタバースの役割について質問すると、井上氏は人工知能(AI)のブームがすでに支配的になっていると語った。彼は次のように説明している。

「メタバースがメインストリームになる前に、AIが支配的になった。FacebookがMetaにブランド変更された数年前のような同じ物語が再び現れるかどうかはわからない」

2021年、FacebookはMetaにブランド変更し、メタバースベースの技術をソーシャルメディアの世界に統合するための大きなステップを踏み出した。しかし、Metaは最近、メタバース部門で40億ドルの損失を報告したが、AI部門を通じて損失を相殺することができた。

Web3ソーシャルに関する会話の多くがオンラインプラットフォームを中心に展開されているが、井上氏は、Web3ソーシャルはメタバースやオンラインプラットフォームに限定されていないと主張した。同氏は、同じカードを持つ他の人とリンクできるIDカードを紹介した。彼によれば、このカードはイベントで広く使用され、お互いのカードをタップして、ブロックチェーンに会議の記録を保存することができる。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン