欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は世界中の中央銀行がビットコインを保有することはないと考えている。
10日の英メディアであるエコノミストの電話会議で、ラガルド総裁は非中央集権的な仮想通貨を保有することは可能性が低いと強調した。
問題外
ラガルド氏は中央銀行がビットコインを導入する可能性について聞かれ、「可能性は非常に低い。問題外といってもいい」と突き放した。
同氏はこれまで、ビットコインが急騰する中で投機性が高いという認識を示し、グローバルな規制が必要だと主張してきた。しかしこうした発言について、「ビットコイン・スタンダード」の著書で知られる経済学者のセイフディーン・アモス氏は、ビットコインの宣伝として「ECBは最善を尽くしている」と評価する。
同氏は今週あったECBのイベントで、ユーロ圏の消費者が数年以内にマイナス金利に直面する可能性があることが指摘されたことに言及した。
ブルームバーグによると、ECB理事のファビオ・パネッタ氏は、もしECBがデジタルユーロを発行するならば、保有額を3000ユーロの上限を設けることを提案した。ユーロ圏が金融危機に見舞われた場合、消費者の取り付け騒ぎが起き、金融の不安定化を招くことが懸念されるためだという。
「例えば、危機時にはデジタル通貨の発行を調整する必要が出てくるだろう。これは中央銀行が金融の引き締めを検討していることのシグナルとなり、取り付けにつながる可能性がある」

ECBはビットコインのために「最善尽くしている」
ブルームバーグによると、パネッタ氏はCBDCの金利を-1%や-2%にするだけでは、おそらく緊急の危機時には十分ではないだろうと述べている。どのようなシステムであっても、「非常にペナルティーの高い」段階的な補償が必要になるだろうと指摘した。
こうした発言は、マイナス金利からは程遠いビットコイン支持者からは嘲笑を集めることになった。マイナス金利が採用されると、伝統的資産の利回りが低くなり、魅力的な代替資産としてビットコインが有利になるとされているためだ。
アマス氏はこうしたECBの動きについて、「ビットコインの価値を強調し、宣伝するために最善を尽くしている」と皮肉った。
一方でラガルド氏は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)については4年以内に実現する可能性があると述べている。