欧州中央銀行(ECB)は、仮想通貨に対する懐疑的な姿勢を維持している。同機関は、米国証券取引委員会(SEC)によるビットコイン現物上場投資信託(ETF)の承認に疑問を呈している。

ECBの市場インフラ・決済部門のディレクタージェネラルであるウルリッヒ・ビンドセイル氏と、同部門のアドバイザーであるユルゲン・シャーフ氏は2月22日、ECBの公式ブログに投稿した。「ビットコインETFの承認:裸の王様の新しい服」というブログ記事のタイトルは、その内容を端的に表している。

ブログの中で両者は、一部のビットコイン支持者から米国の現物型ビットコイン(BTC)ETF承認は、BTC投資の安全性が確認され、2023年のビットコイン価格の上昇が「止められない勝利」の始まりであるという主張について反論。両者は、ビットコインの公正価値は依然としてゼロであると指摘した。

「社会にとって、ビットコインの新たなバブル崩壊サイクルは恐ろしい展望だ。そして、環境破壊や、知識の少ない人々を犠牲にした富の再分配など、その二次被害は甚大なものとなるだろう。」

ビンドセイル氏とシャーフ氏は、2022年に投稿した記事を引用し、ビットコインは世界的な分散型デジタル通貨になるという当初の約束を果たせなかったと主張。彼らによると、ビットコインはキャッシュフローや配当を生み出さず、生産的に利用できず、優れた能力に基づいた社会的利益や主観的な評価を提供しないため、投資対象としても不適切であるという。

ETF承認への期待がビットコイン価格を押し上げたことには同意しているが、それは「一過性の現象」となる可能性があるとみている。

「投機的なバブルには、「価格の証明(proof-of-price)」はない。むしろ、投機的なバブルの再燃は、ビットコインロビーの有効性を示している。」

記事の結論として、ECBはビットコインを管理する役割を果たしていないと述べている。当局は、マネーロンダリング、サイバー犯罪、知識の少ない人々による金銭的損失、広範な環境破壊から社会を守るために、警戒を怠らない必要があると主張した。

2月19日、ECBのピエロ・チポローネ理事らのコラムでは、デジタルユーロの導入が経済全体に深刻な銀行危機を引き起こし、銀行は長期的に資金調達源としての預金を失う可能性があるという主張に対して、反論している。