欧州中央銀行(ECB)のファビオ・パネッタ理事は、デジタル通貨が投資形態として使われるのを防ぐため、中央銀行がデジタルユーロの総保有量を制限することを提案した。

パネッタ理事は15日、欧州議会の経済金融委員会で行われたスピーチで、ECBがデジタルユーロの数を1兆~1兆5000億トークンの間に制限する可能性を示唆した。投資対象として保有し続けるインセンティブがある仮想通貨とは異なり、保有量が多いほど魅力的ではない金利が適用されるという。

「我々の事前分析では、デジタルユーロの総保有量を1兆から1兆5000億ユーロの間に保つことで、金融システムと金融政策への悪影響を避けることができる。この金額は、現在流通している銀行券の保有額と同程度だ。ユーロ圏の人口は現在約3億4000万人なので、1人当たり約3000〜4000デジタルユーロの保有が可能になる」

また、パネッタ氏は、デジタルユーロを効果的に展開するためには、民間企業も公的機関と連携する必要がありそうだと改めて指摘した。同氏は以前、CBDCが実店舗とオンラインショップの両方で受け入れられ、個人間決済を簡単に行えるようにすることの重要性を示唆したことがある。

ECBは2021年7月、CBDCについて2年間の調査を開始し、2026年にリリースする可能性があると発表した。5月に中央銀行は、従来のデジタル決済と比較した場合、「匿名性を備えたCBDC」が望ましい選択肢となる可能性を示唆するワーキングペーパーを発表したが、EU内にはデジタルユーロに反対する声が依然として多い。