欧州中央銀行(ECB)が、欧州で現金利用が低下した場合にデジタルユーロの導入が加速する可能性があると報告していたことがわかった。ECBの機密文書をロイター通信が入手した。

「業界が努力しているにも関わらず、革新的で効率的な欧州決済ソリューションが開発できない場合、中央銀行のデジタル通貨を発行することで社会的ニーズに応えられる可能性がある」

さらに現金支払い手段は欧州でよく利用されているものの「将来、現金の利用が減る兆候が見られた場合に中央銀行のデジタル通貨の取り組みを加速させる可能性がある」と書かれている。デジタルユーロの導入は金融機関や業態に大きな影響を与えることもあり、文書では「注意深く調査を進める」との必要性を指摘。さらに「将来必要が生じた場合に備え、準備を進める」ための作業を継続するとしている。

ロイター通信によると、この機密文書は5日にEU財務省が議論し、ECBのデジタル通貨に関する取り組みを歓迎する共同声明を採択することにつながるという。

デジタルユーロについてはクリスティーヌ・ラガルドECB総裁も、2日に開かれた欧州議会のスピーチで導入の可能性について「市民が日常の取引で中央銀行のマネーを使えるようになるだろう」と触れている。

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