10月1日から消費税が8%から10%へと増税された。果たして仮想通貨取引所やユーザーに影響はあるのだろうか。
日本円入出金などで手数料値上げ
仮想通貨取引所では10月の消費税増税に伴って、日本円入出金の手数料などを値上げする対応を相次いで発表している。
コインチェック
出典:コインチェック
ビットポイント
出典:ビットポイント
ビットバンク
出典:ビットバンク
フィスコ仮想通貨取引所
出典:フィスコ仮想通貨取引所
ディーカレット
出典:ディーカレット
増税対応を発表したケースの多くは銀行振込手数料など入出金関係に関わるものだ。これは銀行などが増税に伴い、手数料を上げたことに対応するもので、それが利用者に転嫁されることになる(ビットバンクのケースでは、組戻手数料も含まれている)。
「手数料へ影響する可能性も」
仮想通貨税務を専門とするエアリアル・パートナーズ(Aerial Partners)のビジネス開発部長であり、税理士の資格を持つ藤村大生氏に、消費増税の影響について聞いた。エアリアルは仮想通貨税務支援サービスを提供する企業。個人向けに仮想通貨損益計算ソフトを提供するほか、個人事業主や法人向けにもサービスを提供している。
まず前提として仮想通貨の取引自体には消費税は課されない。昨年11月、国税庁は仮想通貨の税務に関するFAQを公表。その中では仮想通貨の譲渡には消費税は課されないとしている。
「国内の仮想通貨交換業者を通じた仮想通貨の譲渡には、消費税は課されません」 (国税庁FAQ)
しかし、藤村氏によれば、取引手数料については消費税は掛かると考えられている。前述のFAQの中でも、消費税の項目の註で手数料については課税対象になると書かれている。
「仮想通貨交換業者に対して仮想通貨の売買に係る仲介料として支払う手数料は、仲介に係る役務の提供の対価として支払うものですので、課税対象になります」(国税庁FAQ)
ただ、「原則は手数料については消費税が課税されることになるが、多くの取引所では手数料を無料化しているところが多く、実質的にすぐに影響を受けることはなさそうだ」と、藤村氏は指摘する。「今後、取引手数料が有料となる場合には、そこに課税されることになるだろう」(藤村氏)。
仮想通貨建ての手数料は論点に
また藤村氏によれば、日本円による手数料については課税対象となることは、広く認識されているが、仮想通貨で支払う手数料が課税対象となるかは「議論が分かれるところ」という。
藤村氏としては「仮想通貨で支払う手数料であっても、課税対象になり得る」と考えているが、国税庁等から判断が示されているわけではない。
仮想通貨建てで手数料が掛かるケースは、仮想通貨の送付を行う場合などに発生する。藤村氏によれば「手数料であれば消費税が掛かる可能性がある」という。
「業種的に影響は受けにくい」
とはいえ、取引手数料が課税対象となったとしても「額が大きくなるわけではなく、ユーザーが大きく意識することは少なさそう。そういう意味では業種的に消費税の影響を受けにくいと言える」と指摘する。
また消費増税の影響については、ほかに一般に販売されているコールドウォレットといった関連機器も当然課税対象となる。国内事業者から関連機器やサービスを購入する場合には消費税が掛かり、価格が大きいものほど、ユーザーが増税分を意識することになりそうだ。