著者 DMM Bitcoin マーケットレポート

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ゴルディロックス相場にボラティリティは不可欠

ゴルディロックス(適温)相場とは、景気が過熱も失速もせず、緩やかな成長と長期金利の低位安定が続く程よい状態にある相場環境のことをいい、一般的には

①過熱感のない緩やかな経済成長と
②債券市場の金利低位安定の条件

のもとで実現する。暗号資産においても、同様のゴルディロックス(適温)相場を見出すことが可能であるか、以下に検証を行った。

blockchain.comより作成/当社終値(期間:2019.04.01~2021.04.07)

上図は、2019年4月1日から2021年4月7日におけるBTC価格(オレンジ線右軸:円,30日平均)の値動きに対して、BTCハッシュレート(水色面右軸:100回,30日平均、以下ハッシュレート)とBTCボラティリティ(赤線左軸:%,保有期間1日,計測期間30日)を比較したものである。

中期間の推移を比較すると、BTC価格は、ハッシュレートの緩やかな上昇に沿って推移していることがわかる。ハッシュレートは、マイニング事業者の資本投下量を表したものであり、実体経済における経済成長に置き換わる指標と考えた場合、継続的に成長していると理解できる。

次に価格だが、2021年を迎えてから、BTC価格の上昇ペースはハッシュレートの成長ペースを大幅に上回り、乖離する状況が発生しており、当該期間を鑑みると、“暗号資産におけるゴルディロックス(適温)相場”とは言い難い

しかし、ボラティリティに関して見れば、年初の価格急上昇を受けて、6%まで上昇していたが、BTC価格が400万円程度を達成してからの30日平均のボラティリティは低下している傾向が見受けられる。

ハッシュレートと価格推移を見ると、乖離しており、適温状態とは言えないかもしれない。その背景としては、伝統的なリスク資産に比べてBTCは比較的に歴史が浅いアセットとなっており、市場への浸透が、現在、まさに進んでいる状態であると言え、相対的に大きな値幅が、資金流入の動機として作用し、翻ってBTC価格の上昇ブースト要因となっていると考えられる。

このような状況を踏まえるとBTCの価格はどのように評価されるであろうか。

BTCボラティリティのトレンド転換後には、下降トレンド入りと同時に、BTC価格がハッシュレートに回帰する一連のサイクルが見られる。今までのサイクルに従うのであれば、BTCハッシュレートの水準に回帰するため、200万円程度が目安と想定できる。

一方で、ハッシュレートの成長が価格を裏付けるに十分なほど成長してくるような場合、そしてドルやゴールドの代替となる金融資産としての評価が高くなり、BTC価格の上昇トレンドが継続するならば、BTCの真の意味の適温は現状水準よりも高いと考えられるかもしれない。

600万円を超えるBTCの価格は、BTCがハッシュレートからの評価に留まらず、暗号資産市場の指標的存在“レガシー”への役割変更を遂げていることの証明であるかもしれない。

今後のBTCトレンドは、大きな意味合いを持つであろう。

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本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限らない。