欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は金曜日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)である「デジタルユーロ」を欧州連合(EU)の統一を象徴する存在として称賛したうえで、「可能な限り早期の導入」を目指すと述べた

ラガルド氏は「銀行券の流通は今後も続くが、現金はデジタルユーロという形も取るようにしたい」と述べ、ユーロがEU域内のオンライン決済にも利用できるようになると説明した。さらに次のように続けた。

「これは一大プロジェクトだ。なぜならユーロは私たちの通貨であり、あなたの通貨でもあるからだ。ユーロは共通の運命に対する信頼の象徴であり、デジタルユーロはその最終準備段階に進むことになる」

ECB理事会は木曜日、リテール向けCBDCの構築に向けた技術インフラの開発およびテストを進める方針を発表した。欧州議会がECBに発行権限を与える法案を可決すれば、2029年からの段階的な展開が予定されている。

仮想通貨コミュニティからの強い反発

CBDCは一般に、パーミッションレスかつ分散型金融(DeFi)という仮想通貨の中核的理念に反する存在とみなされている。批判派は、CBDCを「デジタル監獄」と称し、市民の自由、言論の自由、人権を脅かす恐れがあると警鐘を鳴らす。

今回のECB発表も、仮想通貨コミュニティから激しい批判と否定的反応を招いた。

リモート・プロシージャ・コール(RPC)ノード提供企業ヘリウスのCEOであるマート・ムムタズ氏は、ラガルド氏とECBに対して「消えろ魔女、俺たちは民間マネーを使う」とXで投稿した

政治評論家のデイヴィッド・サンダー氏も「共通通貨は『共通の運命への信頼の象徴』だとラガルド氏は言うが、中央銀行デジタル通貨を創設することは、我々の支払いと消費習慣をリアルタイムで監視できるようにし、その信頼をむしろ損なう」と批判した

一方で、フランスとドイツの急進右派政党の議員からはCBDCを禁止し、分散型かつ供給量が上限で制御された中立的なデジタル通貨であるビットコイン(BTC)を推進する法案も提出されている。

フランスの右派政党「共和国のための右派連合」のエリック・シオッティ氏は水曜日、国内でCBDCを禁止する法案を提案した。また、ドイツの政党「ドイツのための選択肢(AfD)」も10月に、政府に対してビットコインを国家の戦略的資産として検討するよう求めている

bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】

欧州, プライバシー , ECB, euro, European Union, CBDC