ビットコインが2020年の新たな高値を目指して上昇を続ける中で、注目が高まっている。一方で分散型金融(DeFi)のトークン価格が急落する中で、DeFIは衰退の一途をたどっている。データによると、分散型取引所(DEX)の取引量が急速に減少しており、DeFIセクターの衰退を示唆しているようだ。

DeFiに関する問題の一つは、最近のハーベスト・ファイナンスのハッキングだ。ハッキングによって、ユニスワップ(Uniswap)とカーブ(Curve)を中心に、DEX全体の取引量が1日だけ急増した。報道によると、ハッカーはフラッシュローン(無担保ローンの一種)を行い、ユニスワップとカーブの両方で数百万ドル相当の仮想通貨を使い、ハーベスト・ファイナンスでテザーとUSDコインの価格を下落させた。

その後、ハッカーはこれらトークンを割安で購入し、フラッシュローンの返済にあて、その過程で利益を得た。これを何度も行うことでDEXの取引量は増加した。ハッキングによってDEX取引量は50億ドル以上に跳ね上がったが、それ以来、減少の一途をたどっている。

(出典:Dune Analytics「毎日のDEXの取引量」)

10月下旬にDEXの取引量は8月以来の低水準となった。週の取引高は9月第1週に記録した80億ドルから、10月19日~25日には30億ドルまで落ち込んだ。

(出典:Dune Analytics「週間のDEXの取引量」)

しかし、DeFi資産全体で大きな調整が起きており、取引量が減少しているにも関わらず、ロックされている合計金額は過去最高値を維持している。DeFiパルスのデータによると、ロックされた総額は現在112億ドルとなっており、10月25日の過去最高値である124億6000万ドルからわずかに下落しているだけだ。

(出典:Dune Analytics「ロックされた総額」)

ビットコイン強気が戻りDeFiブームは終了

分散型金融の勢いが後退する中で、ビットコインに再びスポットライトが当たっている。ビットコイン価格は10月に入ってから25%上昇しており、スクエアやペイパルといった大手企業がビットコインを購入している。ペイパルの参入は特にビットコインのユーザー数を大幅に増やすことが期待されている。

DeFi取引量が減少していることは、トレーダーがDeFiで利益を得ることに興味を失い、ビットコインに戻りつつあることを示している。ビットコインデリバティブでは取引量が増加しており、これからもDeFiからの移行が読み取れる。

(出典:デジタルアセットデータ「取引所別BTC先物取引量」)

一方でm、機関投資家の行動がビットコイン価格にどれほど影響を与えているのかを見分けるのは難しいが、最近のオプションや先物の取引量増加は強気派が活躍していることを示している。

DEXは生き残れるのか

投資家の関心がビットコインに戻りつつある中で、分散型金融の未来はどうなるのだろうか。ロックされた総額は高値を保っているが、取引量の減少から、ロック資産も減少に転じるかもしれない。

DeFiプロトコルの報酬の大部分は取引量に関連しているため、取引量の減少は流動性提供者の利回り低下を招き、DeFiへの関心をさらに低下させることにつながるだろう。

しかし、ダップレーダーのリードアナリストであるイリヤ・アブコフ氏は一時的な低下だとして、分散型金融の成長は続くと見ている。

「夏の終わりから少し落ち込んでいるが、それは自然なことだ。周期的に誇大広告が実際の成長を上回ることがあり、それに伴って少しの冷却期間が訪れる。しかし、根本的な観点から見れば、DeFiとDEXの成長のストーリーにダメージを与えたものは何もない。新しいプロジェクトも開発されている」

DeFiはいくつかの課題に直面しつつも、新プロジェクトへの投資家からの関心はまだ高い。

10月28日にはヤーン・ファイナンスの創業者であるアンドレ・クロンジェ氏がエンジニアのための分散型求人プラットフォーム「Keep3r」を発表した。

このKeep3rのトークン「KP3R」はローンチから数時間以内にトレーダーが殺到して価格が急騰、数時間で2000%上昇した。

Keep3rの急騰は、新たに適切なプロジェクトに対して、投資家の関心が高いことを示している。

アブゴフ氏は新しいプロジェクトや開発がDeFiへの関心の高まりを示すのに貢献すると述べた。

「今はwBTCに加えて、Ethereum DeFiにラップドZcashとDashが導入される。DEXは資産交換を容易にするので、DeFiの全体的な成長から恩恵を受けるはずだ。さらに、DeFiのplay to earnの成長を見ると、ゲーム部門とDeFiの相互接続性が高まるかもしれない。そうした活動は、DEXにも影響を与えるはずだ。」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン