EOS開発企業のブロックワン(Block.one)でCTOを務め、天才エンジニアとして知られるダニエル・ラリマー氏が新たに分散型ソーシャルメディアを立ち上げることが分かった。

プロジェクト名は「クラリオン(Clarion)」。モバイルファーストの分散型ソーシャルメディアプラットフォームになるという。テキストや動画メッセージに対応し、Discordのような音声チャットルームも備える。

ラリマー氏によると、クラリオンは「様々なプロジェクトから学んだ」要素を取り入れており、同氏が開発したEOS基盤のSNS「ボイス(Voice)」やスティーミット(Steemit)の要素も取り入れているという。

ラリマー氏は分散型SNSとして開発したボイスやスティーミットは「論理的に中央集権的」であり、すべてのトランザクションを処理するために、フルノードを必要としていたことが課題だったと説明。そのため、クラリオンはレトロシェア(RetroShare)とゼロネット(Zeronet)から着想を得ているという。このレトロシェアとゼロネットはP2Pのオープンソースファイルシェアアプリであり、ゼロネットにはトロン基盤のファイル共有サービスであるビットトレント(BitTorrent)が使われている。

クラリオンはC++やRustなどからコンパイル可能で、ブラウザ上に高速でプログラムできるWebAssemblyをベースにした「プログレッシブなWebアプリケーション」として開発される予定だ。ラリマー氏はグーグルやアマゾン、アップルに頼らずにコンテンツやアプリケーションを配布することを計画している。

一方で、クラリオンではブロックチェーンを使う特徴についてはまだはっきりとは説明されていない。ラリマー氏はプロジェクトに関連したトークンは発行しないとしており、ユーザー行動についてもコンセンサスを得る必要はないという。

ラリマー氏が1月にブロック・ワンを退社後、業界内では新たに分散型SNSを計画するのではないかと噂されていた。また、ラリマー氏が去った後、スティーミットはトロンに買収され、EOSも現在苦戦を強いられている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン