米議会の有力議員で仮想通貨への強硬な態度で知られるエリザベス・ウォーレン上院議員は、高齢者を狙った仮想通貨詐欺のリスクを強調し、その防止策としてデジタル資産に関する法律を整備する必要を強調している。この法案はサイバーセキュリティ専門家スティーブ・ワイズマン氏からも支持を受けている。
ウォーレン議員は最近の上院での公聴会で、高齢者を対象とした仮想通貨詐欺が大幅に増加していることを指摘した。「昨年、高齢者を狙った仮想通貨投資詐欺は350%増加した。これは全年齢層中で最も大きな増加率で、高齢者が仮想通貨詐欺で失った額は10億ドル以上に上る」と彼女は述べた。
一方、上院公聴会では、ウォーレン氏が詐欺とサイバーセキュリティの専門家と認めるワイズマン氏が、クレジットカード詐欺とは異なり、仮想通貨の不正使用の特定や追跡が難しいと指摘した。彼は「仮想通貨がミキサーを通過すると、追跡が大幅に困難になる」と強調した。「ミキサーに入ると問題が生じる。人々がプライバシーを懸念することは理解できるが、それは詐欺師に比べれば問題ではない」とワイズマン氏は語った。
ワイズマン氏はウォーレン氏のデジタル資産マネーロンダリング防止法案を支持し、デジタル資産が伝統的な法定通貨と同様のマネーロンダリング対策(AML)法に従うよう求めている。「この法案は待ち望まれたものであり、疑う余地はない」とワイズマン氏は語った。
最近の報告によれば、仮想通貨のハッキングや詐欺が前年同期比で大幅に増加しているという。ブロックチェーンセキュリティ会社Immunefiは、2023年7月から9月までの期間に仮想通貨とWeb3プロジェクトを狙ったインシデントが前年同期比153%増加し、その期間の損失額は約6億8600万ドルに上ったと報告している。
ウォーレン議員は米議会の中の有力議員の1人であるが、強硬な仮想通貨反対派でもある。10月には、同議員が主導し、28名の上院議員と下院議員76名が署名した書簡では、仮想通貨がテロ資金調達に果たす役割について懸念している。この書簡では、ハマスとパレスチナ・イスラム聖戦が2021年8月から2023年6月の間に仮想通貨で1億3000万ドル以上の資金を集めたというウォールストリートジャーナルのニュース記事を引用し、仮想通貨が国家安全保障上の脅威であると主張。バイデン政権に仮想通貨対策を強化するよう求めている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン