英国東海岸の小都市ハルの地域仮想通貨ハルコインが、ユーザーに地方税の減額などの特典を提供し話題になっている。

   経済紙FTによると、ハルコインは数年前に誕生して以来、政府の補助をうけるなどして順調にユーザー数を伸ばしてきた。現在も約3500万円がこのコインのプロモーションのために確保されているという。

   ハルコインが興味深いのは、ブロックチェーン上に記録された地域コミュニティへの貢献度や奉仕活動に応じてユーザーに特典が付与されることだ。まさに善行を報いる仕組みだ。

   特に話題になっているのが、同コイン所有者には、カウンシル税として知られる地方住民税が減額されることだ。

   同コインを開発したカイニ・インダストリーのデイビッド・シェパードソンCEOがFTに語ったところによると、「ブロックチェーンを使うことにより、社会貢献活動の結果に時間スタンプを押して、証拠として記録することができる」。

   また、「これは地域で行われている全ての社会貢献活動を記録する分散型台帳となる。これによってユーザーは、自分がした社会的善行の証拠を雇用主にみせることが可能になる」。

   ハルの小売業者は、ハルコイン使用者の「徳行」の度合いに応じて割引率も変えるという。あるパイ商店チェーンの事業主は「禁煙や他人の犬の散歩を手伝った等の行為については10〜15%の割引。献血や、火事になった車内からの人命救助については、全額割引を実施することを検討している」。

   英国ではハルコインの他に、リバプールや東ロンドン特有の地域仮想通貨が存在している。

   地域に特化した仮想通貨が、世界規模の都市化で疲弊する地域を盛り上げるきっかけになるか。注目が集まっている。