香港を拠点とする仮想通貨に特化したベンチャーキャピタルファームであるCMCCグローバルは、アジアのブロックチェーンスタートアップを支援する新しいファンドために1億ドル(約148億円)を調達した。

サウスチャイナ・モーニングポストによると、この新しい仮想通貨ファンドは「タイタンファンド」と言い、ブロックチェーン企業ブロックワン、香港の大物実業家リチャード・リー氏のパシフィックセンチュリーグループ、ウィンクルボス・キャピタル、ジェブセン・キャピタル、アニモカブランドの創設者ヤット・シウ氏を含む30人の投資家から資金を集めた。

タイタンファンドは、ブロックチェーンインフラ、ゲームや非代替性トークン(NFT)のような消費者向けアプリケーション、取引所、ウォレット、レンディングプラットフォームを含む金融サービスといった分野への投資に注力する。

CMCCグローバルにとって、今回の仮想通貨ファンドは4つ目のファンドとなる。このファンドはすでに5回の投資を行っており、そのうち2つは香港を拠点とするスタートアップへの投資だという。

香港のスタートアップとは、アニモカブランドが2022年12月に立ち上げたNFTプロジェクトのモカバース(Mocaverse)で、9月に2000万ドルを調達した。それ以前の8月には、タイタンファンドが香港を拠点とするWeb3データインフラスタートアップのターミナル3(terminal 3)のプレシード資金調達ラウンドに参加した。

この1億ドルの仮想通貨ベンチャーファンドの設立は、仮想通貨の弱気相場で資金調達活動が低調な中で行われた。Pitchbookのデータによれば、仮想通貨企業へのベンチャーキャピタルによる投資額は前年比70.9%減少し、取引の数も55%減少した。これは、仮想通貨スタートアップが数百万ドルを調達し、毎月新たなユニコーンを生み出していた強気相場時の光景とは対照的だ。

仮想通貨VCファンドの香港での設立は、同市が安全な仮想通貨の港としての地位を高めていることを示している。タイタンファンドのマネージングディレクター、シン・イェン・シャウ氏は、米国での仮想通貨への取り締まりがアジア企業に利益をもたらし、「プロジェクトが香港に来て我々と話をしようと考えている」と語った。

香港は昨年10月に仮想通貨政策を変更し、政府はWeb3推進を重視する枠組みを整備している。仮想通貨取引所に関する規制も設けられ、個人投資家へのサービスも今年から始まっている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン