ヤン・コワルスキー氏という人物が、仮想通貨ウォレット「StakedWallet(ステークドウォレット)」と関連のステーキングサービスを利用しないよう、警告するブログ記事を4月19日に公開した。StakedWalletは、顧客は資金を10ドル(約1100円)相当以上の仮想通貨を預け入れることで、PoS(プルーフオブステーク)を採用した仮想通貨により、1日あたり最大1.5%の金利を得られるとうたっている。

StakedWallet公式サイトによると、ステーキングサービスによる金利は、1日あたり0.6%から始まり、9ヵ月後には1.5%に増加するという。一見魅惑的な高配当の金利は、悪名高いビットコネクトを含め、過去にあった著名な仮想通貨詐欺の特徴だ。

またこのアプリは、Google PlayおよびアップルのApp Storeの両方、さらに消費者レビューサイト「Trustpilot(トラストパイロット)」において圧倒的に好意的なレビューが掲載されているが、それぞれレビュー内容を見ていくと非常にあいまいかつ論理的でないことが分かる。なおStakedWalletは、アンドロイド用apkファイルを公式サイト上で独自に配布している点でも疑わしいと見なすべきだろう。

ある消費者は4月19日、StakedWalletを利用して「数百万相当のビットコイン(BTC)」をすでに作成したと、Trustpilotに投稿した。

「このアプリで、何百万ものビットコインを作成した。ありがとう!」

記事掲載時点のBTCの総発行数量は、約1834万BTCだ。

ウエストランド・ストレージの復活?

Trustpilotにある945件のレビュー投稿のうち、わずか4%程度が「悪い」と評価しており、約93%が「優秀」または「素晴らしい」のどちらかとなっている。ただし「悪い」としたレビューの多くも似た内容となっており、ウエストランド・ストレージについて言及している。

「お前達は、皆逮捕されるべきだ。そうなるまで私が見届ける。皆逮捕されろ。唯一(回避できる)手立ては、私に返金することだ。金を返せ詐欺師。ウエストランド・ストレージ、今ではstakedwallet.ioの泥棒が、私の10LTC(ライトコイン)をすり減らした。返してくれ」

コワルスキー氏のブログでは、2018年後半に存在した仮想通貨詐欺「ウエストランド・ストレージ」についても触れている。また同氏は、ウエストランド・ストレージ運営者が現在StakedWalletを運営している者と同じだと主張している。

コワルスキー氏は、ウエストランド・ストレージとStakedWalletの公式サイトの類似点、また両サービスのモバイルアプリのGUIの類似点に注目しているようだ。また、StakedWalletの独自トークン「SWL」は、ウエストランド・ストレージの独自トークン「WSL」をアレンジしたものという。

(出典: ヤン・コワルスキー氏ブログ ウエストランド・ストレージのウェブサイト)

2年前のウエストランド・ストレージによる出口詐欺の被害者らしきコワルスキー氏は、両プロジェクトを比較しやすい立場にある。コワルスキー氏は、夢中になっている友人を止めるためStakedWalletに登録してみたところ、すぐに類似点に気が付いたそうだ。

「私は知っている。同じバウンティ・システム、SWLと呼ばれる独自トークン(ウエストランド・ストレージのWSL)が疑わしいほど類似しており、StakedWalletモバイルアプリのGUIの一部が、ウエストランド・ストレージと同じだ。類似点が多すぎる」

StakedWallet公式サイトには、プロジェクトの情報として、オーストラリアで合法的に登録された企業であること示す文書へのリンクがあるものの、コワルスキー氏はウエストランド・ストレージも登録企業だったと指摘した。

無料のSEOツールのデータによると、StakedWallet公式サイトのトラフィックは、過去3ヵ月間で月間72クリックから43万7000クリックに急増したようだ。ウェブサイトに所有権情報はない。ドメイン登録者を検索できるWHOIS検索において、Registrant Country(登録者の住所)は、バハマを示す国名コード「BS」となっている。サイト所有者に連絡を試みたものの、記事掲載時点までに返事はない。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン