シンガポールを拠点とする仮想通貨企業アンバーグループ(Amber Group)は、個人投資家向けビジネスよりも機関投資家向けビジネスにより集中する計画の一環として、日本部門の売却を検討していると、ブルームバーグが報じた。アンバーは2022年2月に暗号資産交換業者ディーカレットの全株式を取得し、日本市場に進出している。
アンバーのマネージングパートナーであるアナベル・ファン氏によると、同社は現在、日本事業の売却の可能性も含め、今後の選択肢について検討を進めている。現時点では、まだ取引がまとまっているわけではないという。ファン氏は、日本は「非常に質の高い市場であるが、規制は厳しい」とコメントしている。
一方で、アンバーは香港で仮想資産取引プラットフォームのライセンスを申請する予定だ。香港は近年、デジタル資産ハブになろうと積極的な姿勢を示している。ファン氏は、香港の規制環境は同社にとって非常に強気であると述べている。
シンガポールが個人投資家向けの仮想通貨規制を厳しくしているのとは対照的に、香港は成長を促し、投資家を保護する仮想資産規制の策定を目指している。ファン氏は、「香港が現在、先陣を切っているが、シンガポールも完全に門戸を閉じているわけではない」と付け加えている。
2022年12月、アンバーは、フェンブシ・キャピタルUSが主導するシリーズCの資金調達ラウンドで3億ドルを確保した。シリーズCを進める決定はFTX破綻後に行われ、アンバーは以前のシリーズBの資金調達を一時停止した。FTX破綻前、アンバーはシリーズBを完了する過程にあり、30億ドルの評価で1億ドルを調達することを目指していた。FTXの影響は、アンバーの業務面でも影響を与え、同社はスタッフの40%以上を解雇した。