ブロックチェーンインテリジェンス企業TRMラボによると、2023年の仮想通貨ハッキングによる損失は、業界のセキュリティの向上により、2022年から50%以上減少するという。

TRMラボが12月13日に発表したレポートによると、仮想通貨プロジェクトに対する160件のハッキングによる損失は2023年に約17億ドルに達し、2022年の40億ドルの半分以下だった。

TRMラボは、仮想通貨業界がリアルタイムのトランザクション監視や異常検知システムを取り入れ、デジタルウォレットや取引所プラットフォームを強化するなど、セキュリティ対策が強化されたことが減少の原因だと指摘している。

2022年、仮想通貨業界は低迷し、仮想通貨の不正流出やハッキングによる多額の盗難に見舞われた。昨年10月中旬までに、チェイナリシスはすでに2022年を「ハッキング活動にとって過去最悪の年」としていた。

TRMラボの調査レポートは、世界中の法執行機関がデジタル通貨領域におけるサイバー犯罪に対する取り組みを強化していることも指摘している。協力的な行動、迅速な対応、より優れた資産回収戦術により、逮捕・起訴の可能性が高まり、ハッカーたちの意欲を削いでいる。

2023年、仮想通貨取引所、ブロックチェーン・ネットワーク、ウォレット・プロバイダーで構成される業界は、脆弱性、脅威、侵害インシデントに関する情報を共有することで協力的なアプローチを採用し、サイバー犯罪者に対する強固な防御を構築している。

TRMラボによると、2023年の総損失額の60%以上がインフラ攻撃によるもので、特に秘密鍵の盗難やシードフレーズの漏洩が関係している。損失のかなりの部分は、特定のターゲットに対する大規模な攻撃によるもので、上位10件のハッキング事件が盗まれた総資金の約70%を占めている。

報告書はハッキング事件の減少を記録しているが、サイバー脅威の性質の変化も強調している。仮想通貨業界と法執行機関は、急速に変化する状況の中でこの良好な傾向を維持するために、警戒と適応力を維持しなければならないと強調している。

仮想通貨業界で発生したハッキングとしては、仮想通貨取引所ポロニエックスでのハッキングによる1億ドル以上の不正流出や、8000万ドル以上不正流出が発生したHECOチェーンブリッジのハッキングが発生している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン