仮想通貨企業と関係のある3つの主要銀行が破綻したことを受け、ソフトウェアエンジニアのモリー・ホワイト氏は、現在銀行サービスを必要としている仮想通貨企業は、シャドーバンキングに頼らなければならないかもしれないと考えている。

3月14日、テキサス州オースティンで開催されたサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)のパネルで「Web3バブルが弾けたとき」と題して講演したホワイト氏は、仮想通貨に友好的だったシグネチャー銀行とシルバーゲート銀行が破綻したため、仮想通貨企業の選択肢はアンダーグラウンドなものに追いやられるかもしれなと指摘する。ホワイト氏は、仮想通貨プロジェクトが、「銀行へのアクセスに問題があった」2017年~2018年の状況と比較している。

「(当時)仮想通貨の顧客を受け入れることに積極的な米国の銀行は、ほんの一握りだった」とホワイト氏は言う。「仮想通貨業界は伝統的な金融や米国の銀行へのアクセスを必要としており、シグネチャーとシルバーゲートの両行がいなくなってしまったことで大きな影響を受けるだろう」。

「シグネチャーとシルバーゲートがなくなると、仮想通貨業界は厳しい時代を迎えることになると思う。仮想通貨企業は、喜んで協力してくれる他の銀行を見つけなければならないが、それは非常に難しい状況にあある。これらの銀行が破綻した後にはおそらくさらに厳しくなるだろう。彼らは何からしらのシャドーバンキングのようなものに向かう可能性もある」

Molly White and Gerrit De Vynck speaking at SXSW in Austin on March 14

ニューヨーク金融サービス局によるシグネチャー銀行の閉鎖は、同社が仮想通貨企業と関係があることから、当局の行き過ぎた行為であるとする意見が業界内外からも出ている。シグネチャーのバーニー・フランク取締役は、米政府当局が銀行を閉鎖することで「強い反仮想通貨のメッセージ」を送ろうとしていると指摘していた。ただニューヨーク当局は、シグネチャーが「信頼できる一貫したデータ」を提供できなかったことが理由だとしている。