破産した仮想通貨取引所FTXが、非営利の人工知能(AI)関連団体である「AI安全センター」(CAIS)に対して行った数百万ドルの支払いについて情報を請求しようとしている。

10月25日に裁判所に提出された申立書によれば、FTXの代理人弁護士は、同社が2022年5月から9月にかけてCAISに650万ドル(約9.7億円)を提供したと主張。これはFTXが取引所の運営を停止し、破産を宣言する数ヶ月前のタイミングだ。

FTXはデラウェア州の破産裁判所に、CAISに対してFTX、その関連会社、元幹部との間でどのような支払いが行われた、資金の通信のやり取り、どのような契約や合意が結ばれたかを問う召喚状の発行を求めている。FTXの申立書によれば、取引所はCAISが「振り込みに関する会計情報を自発的に提供する」ことを拒否したという。両社は8月に電話会議を行い、10月初めに電子メールでやり取りを行っていた。

FTXがCAISの調査を求めているのは、2022年11月の倒産に巻き込まれた債権者や顧客に資金を返済するための努力の一環と見られる。

6月の報告書でFTXは、約70億ドルを回収し、不正流用された顧客資金をカバーするにはさらに17億ドルの資金が必要だと述べていた。

CAISは、今年5月に公開されたAIリスクに関する声明で最も知られているだろう。それには、「AIからの絶滅リスクを緩和することは、核戦争と並んで優先すべきだ」と記されている。この声明には、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏やAI分野の「ゴッドファーザー」ジェフリー・ヒントン氏など、多くの著名人が署名している。

FTXは、CAISにFTX、FTXの慈善団体、FTXファンデーション、FTXフューチャーファンド、または「FTXの役員、取締役、請負業者、従業員」から受け取った送金、文書、通信の詳細を提出するよう求めている。

また、FTX共同創設者のサム・バンクマン-フリード氏とゲイリー・ワン氏、バンクマン=フリード氏の父親であるジョセフ・バンクマン氏と兄弟のガブリエル・バンクマン-フリード氏、元アラメダリサーチCEOのキャロライン・エリソン氏、元FTXの弁護士カン・スン氏とダニエル・フリードバーグ氏などからの通信を開示するよう求めている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン