仮想通貨業界の大打撃となるFTXやセルシウスといった大手企業の破綻で、弁護士業界が大きな収益を上げている。

ニューヨークタイムズの報道によれば、過去1年間で大手仮想通貨企業の破綻で弁護士や会計士、コンサルタント、アナリストなどの専門家が少なくとも7億ドル(約1032億円)の報酬を得ている。

この試算には、2022年7月5日から2023年7月31日までの間にFTX、セルシウス・ネットワーク、ボイジャー・デジタル、ブロックファイ、ジェネシス・デジタルといった5つの仮想通貨企業の破産案件として請求された費用が含まれている。今後、裁判が進行するにつれて、この数字は大幅に増える可能性がある。サム・バンクマン・フリード氏の刑事裁判が10月に控えている

The fees charged in crypto bankruptcy cases. Source: The New York Times

データによれば、FTXのケースに関与する弁護士が仮想通貨の破産で最も大きな勝者となり、合計で3億2600万ドルを請求している。FTXの破産を担当する法律事務所サリバン&クロムウェルは、弁護士費用として1億1000万ドル以上、経費として50万ドルを請求したという。

ニューヨークタイムズは、費用が特に高騰しているのは、明確な仮想通貨規制がないため、裁判がより複雑で時間がかかるからだと指摘している。

セルシウス、ジェネシス、ボイジャーの破産を担当するカークランド&エリスは、その業務に対して1億100万ドル、経費として250万ドルを請求したという。また、コンサルタント企業であるアルバレス&マーサルは、FTX、セルシウス、ジェネシスでの業務に対して1億2500万ドル以上を請求したという。

2023年1月には、サリバン&クロムウェルなどの法律事務所が仮想通貨破産から大金を得ているとの報道が浮上した。同社は当時、FTXの破産事件に150人以上を投入し、そのうち30人のパートナーは1時間あたり2000ドル以上の時給で働いていた。

高額な弁護士費用をめぐる懸念の中、米国の裁判所はFTXの破産事件の費用査定人としてキャサリン・スタドラー氏を任命した。スタドラー氏は6月、FTXのチームが11月の破産以来、費用として2億ドル以上を請求しており、その費用は妥当だと報告した

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン