ドイツの決済大手ワイヤーカード(Wirecard)を巡る問題で、英規制当局の金融行為監督機構(FCA)はデビットカード発行を担当する子会社ワイヤーカード・ソリューション社のライセンスを凍結した

ワイヤーカードを巡っては、19億ユーロ(約2300億円)にのぼる不正会計疑惑が浮上し、25日にドイツで破産手続きを開始した。

FCAの26日の声明によると、ワイヤーカードの子会社は、その資金の処分を停止し、認可された活動を呈する必要がある。ウェブサイトや顧客に対しては、もはや認可されていないことを伝える必要もある。

FCAは、ワイヤーカードのニュースを受け、カード発行企業と協力し、顧客資金が保護されるようにしたと説明している。26日、規制当局は「追加の措置」を取り、認可された活動をすべて停止するよう求めた。「これは顧客の資金にアクセスできないことを意味する」と、FCAは述べている。

これは、顧客がワイヤーカード・ソリューションが携わったデビットカードが使えなくなる可能性を示唆している。これには、Crypto.comやTenXなどの仮想通貨(暗号資産)デビットカードも含まれている。

Cyrpto.comのクリス・マルザレクCEOは、顧客の資金は同社が所有しているとし、顧客資産は安全であると説明している。マルザレク氏は、迅速に資金をユーザーの仮想通貨ウォレットに返金すると、コインテレグラフに語った。

「現時点では、カードは正常に機能している。昨日の声明の通り、混乱が生じた場合、迅速に資金をユーザーの仮想通貨ウォレットに返金する。今回のFCAの発表を考えると、こうなる可能性は非常に高い」

同氏によると、同社は顧客が引き続きカードを使用できるようにする代替ソリューションを模索しているとも付け加えた。

Crypto.comによるその後のアップデートでは、同社はEUと英国でのカードの運用を停止するよう当局から要請されたことを明らかにした。つまり、顧客はそれらのカードを使用できなくなることを意味する。同社は、48時間以内にデビットカード内のすべての資金を顧客の仮想通貨ウォレットに返却すると約束した。

その後、Crypto.comは顧客に対してすべての資産を返却するのを完了したと報告している

またTenXは、FCAの発表を受け、顧客のデビットカードが使用できなくなると発表。顧客の資産については安全であり、TenXのウォレットにはアクセス可能だと述べている。その上で、できるだけ早くサービスを再び有効にするよう取り組んでいると説明している。

コインテレグラフではTenXにコメントを求めたが、現時点では返答はない。

ワイヤーカードのスキャンダル

ワイヤーカードの問題は、同社が主張する資産の32%以上が実は不足していることが発覚したことで始まった。

CEOのマーカス・ブラウン氏は辞任し、その後ドイツ当局によって逮捕された。ドイツの当局は、同社の経営陣が長期にわたって詐欺に関与し、収益や資産を偽装していたと考えている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン