ナンセンのリサーチャーが実施したブロックチェーン分析により、FTXの破綻に伴う中央集権的な仮想通貨取引所からイーサ(ETH)とステーブルコインの流出が浮き彫りになった。

ナンセンのリサーチアナリストであるサンドラ・レオウ氏は、分散型金融(DeFi)の現状を分析するスレッドをツイッターに投稿し、特に取引所からのETHとステーブルコインの動きを解説した。

現状では、イーサリアムのコンセンサスレイヤーのデポジットコントラクトには1500万以上のETHが、wETHのデポジットコントラクトには約400万枚のwETHが保有されている。Web3のインフラ開発および投資会社であるジャンプ・トレーディングは、200万以上のETHトークンを保有しており、エコシステムの中で3番目に大きなETHの保有者だ。

バイナンスやクラーケン、ビットフィネックス、ジェミナイのウォレットはETHの保有量ランクで上位に掲載されており、アービトラムレイヤ-2 ロールアップ・ブリッジも相当量のイーサを保有している。

レオウ氏はコインテレグラフに対し、スマートコントラクトで保有されるETHの増加率は、さまざまなDeFi製品に流入するETHの指標と見ることができると説明。これには、分散型取引所、ステーキングコントラクト、カストディサービスなどが含まれる。

また、最近のFTXの破綻は、中央集権型取引所のような第三者のカストディアンに資産を保有するユーザーへの恐怖につながった可能性がある。レオウ氏は、取引所で保有する資金の安全性が保証されない可能性があるという現実を強調した。

「『鍵を持っていなければ、資産とは言えない』という言葉は、このような時代だからこそ特に重要だ」

ナンセンの取引所フローダッシュボードによると、ジャンプ・トレーディングは入金量に比べて取引所からの出金量が多い事業者として際立っている。レオウ氏は、ジャンプ・トレーディングのトークンの動きについていくつかの可能性を示し、同社が流動性ハブであるセルーム(SRM)トークンのエクスポージャーに言及した。

「FTXの影響を受けているため、流動性を必要とする取引所からトークンを出金する必要があった。過去7日間で、ジャンプ・トレーディングが複数の取引所からETH、BUSD、USDC、USDT、SNX、HFT、CHZ、CVX、その他様々なトークンを引き出していることが確認された」

過去7日間でも、多くの主要取引所から相当量のETHが出金された。ジェミナイからは8億2900万ドル相当のETHが出金され、Upbitは7億9700万ドルのETHが口座から移動した。コインベースからは5億9700万ドル相当のETHが引き出され、ビットフィネックスも約5億4200万ドル相当のETHが移動した。

この1週間は、かなりの量のステーブルコインが取引所から移動したことも確認された。ジェミナイからは2億9400万ドル相当のステーブルコインが出金し、ビットフィネックスでは1億7300万ドル相当がプラットフォームから移動した。クーコインとコインベースがそれに続き、それぞれ1億3800万ドルと1億800万ドルのステーブルコインが2つの取引所から引き出された。

レオウ氏もステーブルコインの動きについて、コインテレグラフに「流出は通常、ユーザーが傍観していることを示し、仮想通貨業界に資本が流入していないことを示している」と説明した。

「おそらく、市場の下落と長引く弱気市場は、トレーダーが積極的に投資し、この空間に関与する意欲を減退させる」