3月15日、Bitcoin Unlimitedは、マイナーやノード運用者が6時間もの間ダウンタイムに陥るという事態に苦しんだ。マイナーたちは20万ドル以上の収入を失い、ノードはクラッシュし、Bitcoin Unlimitedの稼働ノード数は800から300にまで落ち込んだ。

この攻撃やソフトウェアのクラッシュによって必ずしもビットコインネットワークに大きな影響が出たというわけではない。しかしながら、Bitcoin Unlimitedのチームは経験豊富ではなく、ビットコイン開発をリードする専門家も少ない可能性が高いことがこのことによって判明した形だ。3月15日のソフトウェアのクラッシュは、2017年に見つかった2つめの脆弱性によるバグによるものだ。

Bitcoin Unlimitedとその開発チームに対する大きな批判の一つが、そのバグ自体がBitcoin Unlimitedの開発チームによって見つけられていなかったという点だ。事実、コア開発チームの1人、Peter Todd氏は、"何人ものチームメンバーがBUより先に脆弱性を発見していた"と語っている。Todd氏は、"事前に用意されていた攻撃で、まるでBUのチームがそれを見つけるのを待っているかのようだった"と語った。

事後のリカバリではなく、大事なのはバグの事前退治

輻輳やスケーラビリティの問題を含むネットワークの問題と技術的な問題は、開発者たちが力を合わせ潜在的な問題に対処可能な効率的で革命的なソリューションを見つけることが出来れば問題ではない。

ビットコインネットワークが過去数年間にわたって急速に成長してきたのは、潤沢な資金源とコミュニティの支持を得ていたコアチームの存在が主な理由だ。Blockstream以前、コア開発チームは、ボランティアによって構成されていた。

コア開発チームとは別に、他のブロックチェーンネットワークとは対照的にビットコインネットワークには実に多様なオープンソース開発コミュニティがあり、開発者たちは潜在的な問題に対する解決策を提案することが出来、P2Pによる精査が可能となっている。

例えば、よく知られているのがMimblewimbleによるビットコインのプライバシーとスケーラビリティのソリューションで、これはオープンソースコミュニティ内で名無しの開発者、もしくは開発グループによって開発されたものだ。

Bitcoin Unlimitedに関して言えば、開発者全員を総動員しても、極めて堅牢で効率的且つ信頼性の高いソリューションを実装することは出来ないかも知れない。ビットコインとセキュリティ専門家であるアンドレアス・アントノポウロス氏が強調するように、ビットコインには多様でオープンな開発コミュニティが必要だ。

アントノポウロス氏曰く―

「これは個人の能力に関する問題ではありません、リリース前にバグを見つけることは、様々なプロセスを経る手間のかかる作業なのです。コンスタントに質の高いコードをリリースするためには多様性が必要になります。全ての開発において、"ドリーム・チーム"を求めていては、スケールすることは出来ないのです」

同氏はまた、ビットコイン開発はネットワークを破壊した後にデバッグを行っては意味がないと語る。重要なのは、透明性の高いコミュニティによる精査のプロセスによって脆弱性を突かれれることを事前に防ぐということだ。

"これは、コードを実装する前にバグを防ぐという意味ではありません。リリース前に事前にバグを無くすということです。そのためには優秀なチームとプロセスが必要です。"

Coinbaseの開発ディレクターであるチャーリー・リー氏や、前BTCC COO、サムソン・モウ氏、Abra CEO兼SatoshiLabs CEO (ハードウェア・ビットコインウォレットで有名なTrezorの親会社)であるビル・バーハイト氏など、業界のリーダーや専門家たちを含むビットコインコミュニティのメンバーの大半と、そしてSlush社がBitcoin Unlimitedの内部バグを避難している。

マイナーたちが上記の件に関してどう反応するのか、また、SegWitが最終的に採用されるのかどうか、興味深い。