仮想通貨取引所のコインチェック(Coincheck)は30日、新規口座開設と一部仮想通貨の入金・購入の再開を発表した。コインチェックでは1月末に発生した不正流出事件を受け、長期にわたって新規口座開設は停止していた。4月にマネックスグループの傘下となり、経営体制の再建に取り組んできていた。大手取引所であるビットフライヤーやZaifが新規口座開設を停止している状況の中で、コインチェックの口座開設再開は、日本の仮想通貨市場にとってポジティブなニュースとなりそうだ。

コインチェックは、1月26日の仮想通貨NEMの流出事件を受け、新規口座開設を停止。その後、金融庁による2度の業務改善命令を受け、ほとんどのサービスを停止する状態となっていた。

2月の日本円の出金再開を皮切りに、取り扱い仮想通貨の出金・売却を順次再開するなど、サービス正常化に向けた取り組みは進んでいたが、新規口座開設の再開は大きなインパクトだ。

コインチェックは4月16日にマネックスグループの傘下に入り、内部管理態勢やガバナンス、マネーロンダリング対策などに取り組んできていた。その一環として、6月にはモネロやZキャッシュなど匿名通貨の廃止した。29日の個人投資家向け決算説明会でマネックスグループの松本大CEOは「(再開に向けた)準備は完了できていると考えている」とし、「金融庁からのゴーサインを待つだけだ」と語っていた。

従業員250人に拡大、セキュリティー部署など新設

今回の発表では、従業員数を1月時点から約2倍の250人にまで増員したことも明らかになった。また新規取扱仮想通貨のリスク評価や選定をする選任部署や、セキュリティ態勢を統括するサイバーセキュリティ推進部や、インシデント発生時に対応する専門チームなどを新設。マネックスのもとでその経営力を強化している。

マネックスグループの松本大CEOは「業務が再開できれば、早期に黒字化できると考えている」と語り、コインチェックの仮想通貨事業について自信を覗かせていた。

マネックスの決算説明資料によれば、コインチェックのユーザー数は約170万人。松本CEOは29日の個人投資家向け説明会の中で「実際に細かく見ていくと、大口の顧客は概ね残っている。強固な顧客基盤は維持していると考えている」と話す。今回の新規口座開設の再開で、さらなるユーザー数拡大につながるかどうかが注目される。

次のステップは業登録

今回、新規口座開設や一部仮想通貨の入金・購入は再開したが、イーサリアムやリップルといった仮想通貨の入金・購入やレバレッジ新規建取引といったサービスは再開準備中。コインチェックは、こういった停止中のサービスも「引き続き安全性の確認を行い、準備が整い次第、順次再開していく」としている。

またコインチェックの立場は依然として「みなし業者(※)」だ。金融庁から仮想通貨交換業者としての正式なライセンス取得はまだだ。今後、本格的なビジネス展開を図っていく上で、当局からの交換業登録が大きな注目点になるだろう。

またマネックスの松本CEOは29日の決算説明会の中で、セキュリティー・トークン・オファリング(STO)やイニシャル・コイン・オファリング(ICO)といった分野についても、将来的に取り組む考えを示していた。こういった新しい取り組みは「取引所が動き出して安定すれば、エンジニアを新しいサービス開発に向けられる」 としている。

※金融庁が発表した資料によると直近の仮想通貨交換業者に登録されているのは以下の通り。

株式会社マネーパートナーズ、QUOINE株式会社、株式会社bitFlyer、ビットバンク株式会社、SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社、GMOコイン株式会社、ビットトレード株式会社、BTCボックス株式会社、株式会社ビットポイントジャパン、株式会社DMM Bitcoin、株式会社ビットアルゴ取引所東京、Bitgate株式会社、株式会社BITOCEAN、株式会社フィスコ仮想通貨取引所、テックビューロ株式会社、株式会社Xtheta(平成30年9月3日時点)

 

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