コインチェックは9月10日、メディア向けの事業説明会を開催した。コインチェックの蓮尾聡社長は、仮想通貨(暗号資産)取引所に加え、ステーキングやレンディング、IEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)、NFT(ノンファンジブルトークン)といった領域までカバーすることで、「新しい価値交換を支えるプラットフォーム」を目指すと語った。

蓮尾氏は、コインチェックの事業全体について、コスト削減や法令遵守、セキュリティ強化といった施策に取り組むとともに、通貨数の増加や収益源拡大に向けた新サービスといった攻めの取り組みを行ってきたと説明。足元では本人確認口座数が堅調に推移し、営業収益も増収につながったと強調した。

さらに取扱仮想通貨の数は、最近のIOSTのサポートで14通貨となり、「取扱通貨数はナンバー1を維持している」。コアプリダウンロード数では300万を超えており、これも「業界内でナンバー1を維持している」と蓮尾氏は強調した。

「取扱通貨は今後も拡大」

蓮尾氏は、コインチェックの事業戦略として、取引所・販売所事業をコアの収益源と位置づけ、ここを強化することが1つの柱だと語った。取扱通貨の拡大はこの一環であり、蓮尾氏は「今後も通貨数を拡大させていく」と述べた。

もう1つの柱が、コア周辺のプロダクトを広げていくことだ。ステーキングや貸仮想通貨、そして最近発表したIEO事業もそれにあたる。ステーキングについては今年1月からLiskのステーキングを開始。顧客からの反応でも手応えを感じており、「ほかの通貨でも検討を進めていき、様々な通貨でのサービス提供を考えたい」という。

さらにブロックチェーンを使った新しいアセットであるNFTのマーケットプレイスも開始し、新しい周辺事業を拡張させていく考えだ。

これにより様々なアセットを取り扱う「新しい価値交換を支えるプラットフォーム」を目指す考えだと、蓮尾氏は語った。

NFT購入のユーザーエクスぺリンス改善

コインチェックは8月に、ノンファンジブルトークン(NFT)のマーケットプレイスを構築することを発表した。今年度中にマーケットを立ち上げることを目指しており、最近ではNFTプラットフォームを手掛けるEnjinと連携することも発表している

NFTとは、非代替性トークンとも呼ばれ、ブロックチェーン上で記録された固有の価値や情報を持つものだ。ブロックチェーンゲーム内でのアイテムやキャラクター、もしくはクリプトキティーズのようなコレクタブルアイテムなどにNFTが使われている。

NFTマーケットプレイス事業を手掛ける執行役員の天羽健介氏は、コインチェックでマーケットプレイスを立ち上げることで、NFT取引を一気通貫で行えることを目指すと語った。

現状では「自己責任でウォレットを用意する必要があり、さらに暗号資産取引所でETH(イーサ)を購入し、ウォレットに送金し、そこからNFTマーケットプレイスに行って購入することになる」。またユーザーが自らウォレットの秘密鍵を管理することになり、ユーザーがリスクを抱えながら保管している状況だ。

こういったNFT購入に関わる一連のアクションをコインチェックで「一気通貫に提供する」ことで、ユーザーのNFT購入へのハードルを引き下げる狙いだ。さらにコインチェック内でNFTを購入する際には、ETHのトランザクション手数料(ガス)が掛からない形で設計。NFT購入のユーザーエクスペリエンス(UX)の改善を目指す。

またNFTの二次流通市場が作られることで、「コンテンツプロバイダーにとってもコンテンツの普及に貢献できる」と、天羽氏は語っている。

天羽氏によれば、NFTの市場規模は19年時点で200億円、20年で300億円程度と予想されている。現状では仮想通貨市場の1000分の1程度しかないが、「大手コンテンツ事業者が有力なIP(知的財産)を持って参入すれば、さらに市場規模の拡大が進む」とみている。

トークンエコノミーの構築を目指すIEO

また今年8月にコインチェックが発表したIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)についても説明がされた。

IEOとはベンチャー企業などがユーティリティトークンを発行し、取引所で上場させることで資金調達を支援することだ。

コインチェックが行うIEOは、Link-UとHashPortによる合弁会社「Hashpalette(ハッシュパレット)」が立ち上げるブロックチェーンプラットフォーム「Palette(パレット)」によるものだ。パレット上で使用できるトークン(パレットトークン)を発行し、事業資金を調達するモデルだ。

新規事業開発部長の野口亮祐氏は、IEOとほかの資金調達手段(ICOやIPO、STOなど)と違う点は、トークンエコノミーを構築する点にあると強調した。