仮想通貨取引所コインベースは、インドの金融情報局(FIU)からライセンスを取得し、同国でのサービス再開に向けて一歩前進した。
3月11日、コインベースはソーシャルメディア上で「インドでのサービス開始が承認された」と発表し、これを受けてコインベースの最高法務責任者(CLO)であるポール・グレワル氏がコメントを投稿した。
グレワル氏は「コインベースはFIUに登録された。これは、インドの起業家が自宅からグローバルなオンチェーンビジネスを構築し、革新し、成長させるための大きな一歩だ」と述べた。
また、コインベースのブログ記事でも、同社がインドで暗号資産取引サービスの提供を計画していることが確認されたが、サービス開始の具体的な時期については明らかにされなかった。
さらに、コインベースのアジア太平洋地域(APAC)マネージングディレクターであるジョン・オローリン氏によれば、コインベースやその関連ツール(Baseネットワークを含む)の利用が可能になることで、インドの開発者コミュニティも恩恵を受ける可能性があるという。
なお、コインテレグラフはコインベースに対してインド市場への再参入計画について問い合わせたが、記事執筆時点では回答を得られていない。
コインベースは2022年にもインド市場への参入を試みたが、インド準備銀行(中央銀行)との問題により数日で撤退していた。当時コインベースは「現地の規制当局と協力し、現地の期待や業界基準に沿うよう取り組む」としていた。
変化するインドの仮想通貨政策
インドは仮想通貨に対して複雑な歴史を持ち、これまでにFIUが複数の仮想通貨取引所を禁止してきた。
法律専門家のアミット・クマール・グプタ氏はコインテレグラフに対し、インドの多くの議員が仮想通貨業界をギャンブルや違法活動と結びつけて否定的に見ていると説明している。そのため、一部の政府関係者は厳しい課税政策を通じて業界を排除しようと考えているという。
しかし、国際的な仮想通貨の普及が進む中で、インドが取り残されることへの懸念も高まっており、状況は変わりつつある。
2024年2月には、ロイター通信がインドのアジャイ・セス経済担当次官の発言を報じ、セス氏は「仮想通貨には国境がない」と述べ、インドも普及の流れに遅れないようにする必要があると指摘していた。
In terms of crypto adoption, India receives the highest grades among CSAO countries. Source: Chainalysis
2024年のChainalysisのレポートによると、インドは中央・南アジアおよびオセアニア(CSAO)地域で仮想通貨の普及率が最も高い国となっている。
同レポートでは、インドが特に小口投資家による利用や分散型金融(DeFi)の採用において高く評価されているとされる。