元財務相で昨年コインベースの顧問に就任したジョージ・オズボーン氏が、英フィナンシャル・タイムズ紙への寄稿で、英国はデジタル資産市場、特にステーブルコインの分野で後れを取りつつあると指摘した。ステーブルコインは取引や国際送金の摩擦を減らす可能性を持ちながら、その潜在力を十分に生かせていないという。

「私が目にしている現状は不安を覚える。英国は先行者どころか、完全に後れを取ってしまっている」とオズボーン氏は指摘した。

同氏の懸念の一つは、ステーブルコイン分野の進展の遅さだ。法定通貨をオンチェーンで表現するこの技術は、決済や国際送金の効率化に寄与するが、英国では十分な取り組みが進んでいない。

オズボーン氏は、ロンドンが国際金融センターとしての地位を築いた背景には革新を受け入れる姿勢があったが、その姿勢が失われつつあると述べた。

「仮想通貨やステーブルコインを含め、あまりに多くの分野で完全に後れを取っている。この遅れを取り戻す時だ」と強調した。

The stablecoin market is surging ahead, without the British pound playing an active role. Source: DefiLlama

米国では、ドルの基軸通貨としての地位を強化するための「GENIUS法」などの立法が進む一方、英国政府の無策により「ポンドは脇役にすらなれない」と同氏は警鐘を鳴らした。ステーブルコイン市場におけるドルの圧倒的な優位が際立つ中、ポンドは世界で5番目に取引量が多い通貨であるにもかかわらず、その存在感を発揮できていない。

オズボーン氏の寄稿は、現職財務相レイチェル・リーブス氏への痛烈な批判でもある。リーブス氏はステーブルコインに関して大胆な措置を講じると約束していたが、いまだに実行には至っていない。

コインベース、風刺的な広告で物議

オズボーン氏の寄稿は、コインベースが公開した挑発的なミュージカル広告の後に発表された。この広告は、英国の経済運営の不備や生活費危機を風刺的に描いたもので、仮想通貨を新たな資産形成手段として訴える意図が込められている可能性がある。

「すべてが順調なら、何も変える必要はない。しかし、金融システムが多くの英国民にとって機能していないなら、刷新が必要だ」と、コインベースはYouTubeの説明文で述べている。

A caption from Coinbase’s “Everything Is Fine” ad. Source: YouTube

コインベースのブライアン・アームストロングCEOは先週、この広告が主要な英国テレビ局で放映禁止になったと主張したが、CNBCは4日時点でその真偽を独自に確認できていない。

Source: Brian Armstrong

米政治資金監視団体OpenSecretsによれば、コインベースは米国における仮想通貨ロビー活動の主要プレイヤーであり、特に2024年の重要な選挙年には数百万ドル規模の資金を投じている。

政治専門紙ポリティコによると、同社は10年以上前からロビー活動を開始し、その規模を大きく拡大してきた。仮想通貨業界で最も多くの資金をロビー活動に費やしてきた企業だという。

今回の広告キャンペーンとオズボーン氏の寄稿は、同社が英国市場への注力を強めていることを示している。コインベースは2015年に英国市場へ参入している。

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