時価総額が800万ドル近くまで上ったことで、Amazon (Amazon S3)、Google (Google クラウドストレージ)、Microsoft (Microsoft Azure)、Dropbox (Dropbox for Business) のような巨大企業が牛耳る企業向けクラウドストレージ業界に一矢報いるべく、SiaCoinがメインストリームの座を狙おうと動き始めた。

Nebulous Labsのプロジェクトに関わる開発者たちは、SiaCoinは一年に渡り確かにその存在が観測されてはいたが、最近になってCoinMarketCap上でTOP10入りしたことを受けてついに具体的に始動する運びになったのだと語る。今回、コインテレグラフは、Nebulous Labs開発者リーダーである、David Vorick氏にSiaCoinの使用や、クラウドストレージ市場における価格について詳細を伺った。

 

SiaCoinとは何か

 

コインテレグラフ (以下CT): SiaCoinをクラウドストレージ業界ではなく、ブロックチェーン業界に携わる人に説明するとしたら何と説明しますか。

 

David Vorick氏 (以下DV): Siaはコントロールを維持しつつ、データをクラウド上に預けることが出来るプラットフォームです。siacoinはスマートコントラクト内でホストに支払いを行う際に使われるトークンです。ファイルコントラクトが生成された際に、貸し手とホスト側のどちらもsiacoinをコントラクト上に投入する形になり、ホスト側は、契約が失効になった際にデータがまだ残っていた場合にのみsiacoinが手に入ります。

 

SiaCoin vs 従来のクラウドストレージ

 

CT: 従来のクラウドストレージサービスと比べて、SiaCoinを利用する利点はどのような点があるのでしょうか。

 

DV: 今日、データをクラウド上にアップロードする際、DropBoxやAppleなどの一企業がユーザーの全てのデータを管理するのが普通です。最近の傾向としてデータベースの漏えいや、プライバシーポリシーの変更などにより幾度となく企業の信用を損なうような事例が示されてきています。Siaを利用すればユーザーがしっかりと自分のデータの手綱を握った状態でクラウド上に保管することが可能になります。Siaにファイルをアップロードすると、まずコピーが作成され、暗号化され、それから多数のホストの元へとアップロードされます。何人もデータを不正操作することは出来ませんし、プライバシーを侵害したり、ユーザーのオリジナルファイルにアクセスすることも出来ません。スマートコントラクトはホスト側に支払いが行われるタイミングを確認する目的で利用されます。

 

投機の影響

 

CT: SiaCoinは基本的に通貨と考えればよいのでしょうか、それともデータをトークン化する一手段と捉えればよいのでしょうか。また、SiaCoinは投機の対象となりますか、その場合顧客のデータにはどのような影響があるのでしょうか。

 

DV: SIacoinは投機の対象になります。過去に大規模な価格の動きがありました。ホストはファイルコントラクトを担保に入れているため、大規模な価格変動によるリスクの大半をヘッジすることが出来ます。価格上昇はネットワークに対してしか恩恵がありませんが、価格下落によりホスト側の収益に影響する可能性はあります。価格が半分かそれ以下にまで減るような深刻な価格下落が起こった場合、ファイルはホストによって破棄される可能性があります。しかし、例え25%程までに価格が下落した場合でもデータが危険にさらされるリスクはありません。

 

他の競合となるブロックチェーン企業

 

CT: 他にブロックチェーン技術をクラウドストレージ業界で利用している企業をご存知ですか、またsiacoinとの違いはどのようなところにあるのでしょうか。

 

DV: 分散型クラウドストレージに関わってる他のチームやプラットフォームは少ないですね。ホスト向けにホストがファイルコントラクトを完了するまで、決済をホールドしエスクローしておけるようなプラットフォームは、Siaだけではないでしょうか。Siaはまた、価格効率、データ速度、そして優秀なエンジニアリングチームにも強く重きを置いているプラットフォームでもあります。

 

「Sia v1.0は、6月28日にリリース予定で、長期的サポートの元、GUIと安定したAPIを提供します。Siaは2014年早期から開発を始めており、2015年6月から試験運用を始め、12ヵ月以上の試行錯誤やアップグレードを経て、完全に機能する問題のない状態まで持っていきついに1.0のバージョンをリリースする運びとなり大変嬉しく思います。より優れた安定性と、スケール、そして (50GB以上の) 大きなサイズのファイルのサポート、サードパーティの開発者たちがSiaを独自のアプリケーションに実装可能なAPIを実装し提供していく予定です」