ブロックチェーン基盤のデジタルIDを手がけるシビック・テクノロジーズと、仮想通貨カストディ(資産管理)を手がけるビットゴー(BitGo)は7月23日、ビットゴーのマルチシグ(複数の秘密鍵による署名)技術を採用し、仮想通貨とユーザーの個人情報(IDデータ)を自分で管理できる仮想通貨ウォレットアプリ「シビック・ウォレット」を発表した。2019年第4四半期にリリース予定だ。

シビック・ウォレットは、ビットゴーのマルチシグ技術を採用することで、ユーザーが仮想通貨と自分自身の個人情報の両方に関して、より多くの制御・管理を行うことと、セキュリティを備えることを可能にするという。

また、シビック・ウォレットでユーザー登録を行う際、安全に本人確認を検証できるブロックチェーン技術を採用しており、この検証の上で本人であることを示す認証を行うという。またプレスリリースによると、ユーザーと任意の店舗など複数の当事者間で共有することなくこのIDデータの検証を行えるとともに、ユーザーは自分の個人情報を詳細に管理できるようになるそうだ。

「いったんシビック・ウォレットを手に入れると、ユーザーは本人確認の検証済みIDの一部を、第三者を選択した上で共有できる。例えば、年齢制限のある製品を匿名で購入できる」

シビック共同創設者兼CEOのヴィニー・リンガム氏は、「我々は、金融とIDによる新たなエコシステムを構築している」と述べ、消費者がブロックチェーン分野に参入する際の障壁を下げたいと表明した。

ビットゴーの共同設立者兼CEO、マイク・ベルシェ氏は、今回のような技術はユーザーにとって大きな前進だと強調。「ユーザーは、自分の仮想通貨ウォレットの秘密鍵を記録したモバイル機器を紛失した場合、すべての仮想通貨を失うしかなかった。しかし、これはシビック・ウォレットには当てはまらない」と述べた。

シビック・ウォレットの場合、秘密鍵はユーザーのスマートフォンなどのモバイル機器に安全に保存され、さらに冗長(redundant)バックアップシステムによりスマートフォンを紛失したり盗まれたりした場合でも仮想通貨ウォレットを簡単に復元できるという。冗長性(redundancy、リダンダンシー)を考慮したバックアップとは、一般には、何らかのトラブル発生に備えて予備装置として常時運用し、同一の状態を維持するものを指す。

なおシビック・ウォレットの入手は、事前登録および紹介制に限定されている。


翻訳・編集 コインテレグラフ日本版