大手投資会社のグローバルチーフエコノミストが、投資ファンドニュースサイトETF.comの21日付コラムで仮想通貨批判を展開した。

 バンガード・インベストメント・ストラテジー・グループのグローバルチーフエコノミスト兼グローバルヘッドのジョー・デイビス氏は、ブロックチェーンテクノロジーは可能性を感じさせるものの、仮想通貨の隆盛は、バブルマーケットの典型的な例である17世紀オランダにおける「チューリップ・バブル」に例えることができると述べた。

 バンガードは、今年の1月時点で5兆1000億ドルの資産を運用しているとされる。デイビス氏は、バンガードが使用するブロックチェーンテクノロジーへの自身の情熱について語ることからコラムを始めているが、次のように加えている。

「通貨としてのビットコイン?価格がゼロになる可能性が十分にあるとみている」

 そしてデイビス氏は、仮想通貨と17世紀オランダにおけるチューリップへの熱狂を比較する誤解を招く恐れのある論を展開し、仮想通貨は「チューリップと異なり、(中略)花瓶に飾ってもそんなに素敵ではない」と指摘している。

 デイビス氏によると、仮想通貨が本当に通貨なのかは議論の余地がある。なぜなら彼によれば、仮想通貨は勘定単位であり、交換媒体ではあるが、価値の保管手段ではないからだ。

「仮想通貨がニッチな目的に適していたとしても、先行きは不透明に思われる」

 デイビス氏、仮想通貨はキャッシュフローや配当金を生み出さず、価格は投機に基づいており、ブロックチェーンテクノロジーの価値に結びついてないと書く。さらに仮想通貨に投資する投資家の従来市場への投資を引き下げるため、「仮想通貨への投資の論拠は説得力をほとんど持たない」とし、次の通りに続けた。

「ビットコインがブロックチェーンへの投資だと言うのは、Pets.comがインターネットへの投資だったと言うようなものだ」

 ナスダックは昨年秋、ビットコイン(BTC)がチューリップ・バブルとは別物である5つの理由について記事を記し、主要仮想通貨の成長は「バブルではない」とした。

 実際、チューリップ・バブルの規模自体も過大に誇張されていたようだ。研究者のアン・ゴルガー氏は著書の中で、「そんなに多くの人が関わっていたわけではなく、経済的影響もかなり小さかった」と記している