バイナンス元CEOのチャンペン・ジャオ氏(通称CZ)が、米国当局との和解合意の一環として1件の罪状に対する有罪を認めてから160日以上を経て、連邦判事の前に出廷する予定だ。

4月30日、リチャード・ジョーンズ判事が、ワシントン西部地区連邦地方裁判所で、検察官とCZ氏の弁護士からの聴聞を行う予定だ。これは、FTX元CEOサム・バンクマン=フリード氏の有罪判決と判決以来、仮想通貨業界で最も注目される裁判の1つだ。ジャオ氏の量刑聴聞会はすでに一度延期されたが、記事執筆時点では月末までに開催される見込みだ。

2023年11月、ジャオ氏は、バイナンスにおいて効果的なマネーロンダリング防止(AML)プログラムを維持できなかったという銀行秘密法違反で有罪を認めている。彼は米国当局との和解の一環としてCEOを辞任し、バイナンスとジャオ氏は43億ドルを支払うことに合意した。

ジョーンズ判事はCZ氏は最大懲役10年になる可能性があるが、米国の量刑ガイドラインによると、彼が直面している罪状しては懲役12~18ヶ月が推奨されている。

バンクマン-フリード氏は3月28日に懲役25年の刑を受けたが、両者の事件は仮想通貨業界の著名人であるという以外には、共通点はほとんどない。

一部では、ジャオ氏が有罪を認めたことと当局への協力的姿勢を考慮に入れると、ジャオ氏が刑務所に全く収監されない可能性も指摘されている。

「これらの事件は、罪状の観点からは比較できないが、司法省、SEC、連邦政府が不正行為を容認しないことを非常に明確にしているという観点からは、極めて比較できる」と、弁護士のモー・ヴェラ氏はコインテレグラフに語った。ヴェラ氏はさらに、米国当局は、ジャオ氏に厳しい判決を下すかどうかにかかわらず、仮想通貨業界の不正行為者に「メッセージを送ろうとしている」のではないかと推測した。

また彼はジャオ氏の協力と有罪認定により、判事から「ある程度の寛大さ」が見られるかもしれないと推測した。

元連邦検事補のマーク・ビニ氏はコインテレグラフに対し、バンクマン-フリード氏の刑事事件とは異なり、CZ氏の事件は「規制違反のようなものだ」と語った。しかし、彼はハマスによるイスラエルへの攻撃といった出来事が、CZ氏の量刑を決める判事に影響を与えるリスクはあると指摘した。ハマスの攻撃の後、仮想通貨がテロ組織の資金源として使われているとする懸念が表面化している。これらの主張は、AMLプログラムの維持に失敗した元バイナンスCEOの罪状判断に影響を与えるかもしれないという見方だ。

「ワイルドカードだ。バイナンスがハマスに関連した資金洗浄を行ったと非難が存在しており、世論の感情と政府が感じていることと一致する可能性がある」とビニ氏は述べた。「規制違反のように見え、現実世界に深刻な影響を及ぼしている事例として検察官が考慮すべきだと主張するかもしれない」と彼は付け加えた。同氏はこういった現実世界での事件が判事の量刑判断に影響を与えるかもしれないと指摘する。

有罪を認めてから、ジャオ氏は1億7500万ドルの保釈金で保釈されており、米国内については自由に移動できる状況だ。彼の弁護士チームは、家族と会うためにアラブ首長国連邦(UAE)への旅行を複数回要求したが、これらはすべて判事によって却下された。