新しい報告書によると、2024年に仮想通貨市場における全体的な不正取引は減少した一方で、特定の仮想通貨関連犯罪活動は増加したという。
チェイナリシスが8月15日に発表した2024年仮想通貨犯罪レポートによると、仮想通貨における違法行為の総額は2024年7月までに前年同期比で19.6%減少し、209億ドルから167億ドルに落ち込んだ。
チェイナリシスの調査によれば、2024年には正当な仮想通貨活動が不正活動よりも速いペースで成長している。特に、米国での現物ビットコイン上場投資信託(ETF)と現物イーサリアムETFの採用など、業界のポジティブな出来事が影響している。
2024年の仮想通貨市場のポジティブな進展にもかかわらず、チェイナリシスは、資金盗難とランサムウェアという2つの不正活動が増加していると警告している。
ビットコイン価格の上昇が影響
チェイナリシスによると、2023年に50%減少した仮想通貨ハッキング活動は、2024年に入ってから大幅に復活している。最新のレポートによれば、2024年7月末までに盗まれた仮想通貨の累積価値は15億8000万ドルを超えた。この金額は、2023年の同期間に盗まれた価値よりも84%高い。
Source: Chainalysis
チェイナリシスによれば、2024年のハッキング事件数が前年をわずかに上回り、前年比2.8%増加した。しかし、1件あたりの平均被害額は79.5%増加し、2023年の590万ドルから2024年の1060万ドルに上昇している。
この被害額の変化の多くは、仮想通貨市場の価格上昇によるものだ。ビットコインの価格は、2023年の最初の7か月の平均価格2万6141ドルから、2024年7月までの平均価格6万91ドルに約130%上昇した。
ハッカーが再び中央集権型取引所を標的に
チェイナリシスはまた、仮想通貨ハッカーが過去4年間の分散型取引所(DEX)への攻撃から反転し、再び中央集権型取引所(CEX)を標的にしていることを発見した。2024年にはCEXが高額な被害を受けており、日本のDMMビットコインが2024年5月にハッキング攻撃を受け、3億500万ドルのビットコインを失った。このハッキングは、2024年の仮想通貨ハッキングによる被害総額の約19%を占める。
Source: Chainalysis
チェイナリシスのサイバー犯罪研究リーダーであるエリック・ジャーディン氏は、CEX攻撃の復活は、CEXの取引量が急増した結果であるかもしれないとコインテレグラフに語った。
「このトレンドが単なる機会主義的な犯罪なのか、それとも大規模なユーザー資金を保管する中央集権型サービスが、DeFiサービスに比べて相対的に魅力的な価値を持つようになったために標的にされているのかは明確ではない」と彼は述べている。
ランサムウェア被害の増加
チェイナリシスの調査によれば、2024年に入ってから仮想通貨関連のランサムウェア攻撃も悪化している。
2024年7月、チェイナリシスは「ダークエンジェルズ」として知られるランサムウェアグループに7500万ドルの仮想通貨が支払われたことを確認した。この取引は、記録された最大の単一ランサムウェア支払となる。
Source: Chainalysis
チェイナリシスのサイバー犯罪専門家のジャーディン氏は、2024年7月に米テック企業CDKグローバルによるビットコインによる身代金支払を挙げ、仮想通貨、特にビットコインを通じて大多数のランサムウェア支払が行われているとコインテレグラフに語る。