ポイントサイト運営のセレスと仮想通貨交換業業者のXtheta(シータ)は27日、資本提携すると発表した。セレスがシータの新株予約権を引き受ける。シータは調達資金で内部管理態勢を強化し、来年春にも仮想通貨の取次サービス開始を目指す。
調達額は明らかにしていないが、セレスは新株予約権行使後の所有株式比率は少数に留まる見込みだとしている。シータは調達した資金で、内部管理態勢強化に必要な人員増強やシステム面の強化を進める。
セレスは、仮想通貨交換業大手のビットバンクを持分法適用会社化しているほか、子会社のマーキュリーを通じた仮想通貨交換業取得も目指している。また分散型アプリ(Dapps)の提供や、仮想通貨・ブロックチェーン関連企業に出資するなど、この分野で積極的に事業を展開している。
株取引でいう証券会社の不在
シータの共同創業者である山本仁実氏は、コインテレグラフ日本版の取材に対して、取次サービスの重要性を強調した。取次サービスは、取引所と顧客の間に入って仮想通貨の取引を取り次ぐサービス。顧客の注文を代行して取引所に取次という、これまでの取引所ビジネスとは異なるビジネスモデルだ。顧客から注文を受けた後、シータが取引所を選定して注文の取次を行い、ウォレットに反映させる。今の顧客層とは「全くターゲット層が異なる(山本氏)」という。
現在の仮想通貨は、実際に取引をしている人は少数の投機家。何かと悪いイメージがつきまとう仮想通貨の投資を新たに始める人がは少ない。山本氏は、どのように仮想通貨取引を始めればよいか分からない人が多いと話した。
「(仮想通貨取引は)一般の人が本当に使えるサービスにはなっておらず、まだ仮想通貨は聞いたことがあるけど持っていないという人が多い。今までビットコインを持つきっかけがなかったような人にとって、仮想通貨投資を始められるきっかけになるサービスを作っていきたい(中略)普通の人が簡単にビットコインの取引をできて、投機ではない中長期的な資産の形成ができるようなサービスにしたい」
シータは、取引所の選定だけでなく、積立などのサービスも考えている。例えば、ボラティリティ(価格の変動幅)が高いビットコインに対して、積立など「価格の変動をあまり気にせず、毎日、少額で買い続けられるサービス」を提供することで、「初心者が不安に感じるところ」をしっかりと対応する。
山本氏がビットコインを初めて買ったのは2013年。その後、2014年に仮想通貨の勉強を本格的に始め、「ビットコインの仕組みが既存のシステムを効率化するものではなく、根底的に変える技術」であることを理解したという。「仮想通貨について人より詳しくなって、(周りの人に)教えてあげたり代わりに買ってあげたりして喜ばれた」という原体験がシーターの取次サービスにつながっているそうだ。
今回出資したセレスの経営企画室長である寺東宏城氏は、「取次業のニーズはある」と指摘。仮想通貨業界の裾野を広げるという点でセレスのコンセプトと合致したことも出資を決めた理由の一つだったそうだ。現在金融庁に登録されている16の仮想通貨交換業者の中で取次サービスをやろうとしているのはシータしかいない。
寺東氏は、株式市場と比較して、仮想通貨市場の現状について次のように分析した。
「(仮想通貨市場は株式市場で言うところの)ネット証券しかない状態。世の中、野村証券とか大和証券とかで取引する人はいっぱいいる。(中略)株でさえそうなのに、仮想通貨は取引所をどれにすればいいかも難しい。余計に難しくなっているのが現状だ。(取次サービスは)証券会社以上に重要なポジションなのではないか」
「仮想通貨は本来、民主的なコインだから誰でもアクセスできるべき」(山本氏)。シータの取次サービスが、仮想通貨普及のきっかけになるのか注目だ。
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— コインテレグラフ⚡仮想通貨ニュース (@JpCointelegraph) 2018年10月31日
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