中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、中央銀行のマイナス金利政策を深掘りする新たなツールになるかもしれない。

ウォールストリートジャーナルのシニアコラムニストであるジェームズ・マッキントッシュ氏は、9月8日執筆した記事で、金利がゼロに下回った場合に現金とCBDCの違いがはっきりと浮き彫りになると主張している。

マイナス金利政策は、景気が後退した時に中央銀行が借入や支出を促すための最終手段として使われている。

このマイナス金利が導入された場合、人々は現金でタンス預金をして「ゼロ金利」で稼ごうとするかもしれない。中央銀行がCBDCを導入すれば、お金をマットレスの下に隠せなくなり、マイナス金利の効果がより発揮されるかもしれないと、マッキントッシュ氏は指摘している。

これまでのマイナス金利政策は、欧州中央銀行の-0.5%や日本銀行の-0.1%、スイスの-0.75%など、いずれも-1%を下回っていない。CBDC導入がこの景色が変わるかもしれないというわけだ。

マッキントッシュ氏は「電子マネーによって、中央銀行は金利の自由度を高めることができる」と結論付けている。

しかし国際決済銀行(BIS)のイノベーションハブの責任者であるブノワ・クーレ氏は、中央銀行が発行するデジタル通貨が「金融政策の手段だと見なされないように努力してきた」と述べ、そのような議論にに否定的だ。またマイナス金利の深掘りについても「中央銀行と金融機関の両方がそれを躊躇するだろう」と指摘している。