キーポイント:

  • 米新規失業保険申請件数は予想を下回ったが、継続受給者数は上回る結果に

  • 債券市場への懸念が続く中、ビットコインと株式はウォール街の取引開始時点で安定推移

  • 利益確定売りが目立たず、ボラティリティも低水準。BTC価格は高値圏での次の大きな動きを待つ展開に

5月22日の米株式市場の取引開始時点で、ビットコイン(BTC)は11万1,000ドル付近で推移し、過去最高値圏を維持した。これは、米国の失業関連指標において、新規失業保険申請件数が予想を下回った一方で、継続受給者数が予想を上回るなど、労働市場の動向が相反する結果となったことを受けたものとみられる。

BTC/USD 1-hour chart. Source: Cointelegraph/TradingView

ビットコインと株式、雇用統計の不透明感を受け流す

Cointelegraph Markets ProとTradingViewのデータによると、ビットコインの価格変動は株式市場と歩調を合わせて落ち着きを見せている。

最新の米マクロ経済データは、インフレ下における労働市場の強さについて相反するシグナルを示した。新規失業保険申請件数は22万7,000件と予想を下回った一方、継続受給者数は予想を1万3,000件上回った。

それにもかかわらず、リスク資産は前日の水準を維持し、市場心理は強気に傾いているとアナリストらは指摘する。

トレーディングリソース「Material Indicators」の共同創業者BlacknoxはX(旧Twitter)にこう投稿した。
「新規申請は予想を下回り、継続受給は予想を上回った。BTCは現在プライスディスカバリー中にあり、市場は良いニュースだけを歓迎し、悪いニュースを無視しようとしている。」

同じく共同創業者のキース・アラン氏は、失業保険データについて「BTCの勢いを後押しする材料」と評した。

トレーディングレター「The Kobeissi Letter」も「ビットコインと金から目を離すな」と指摘。前日に株式市場のボラティリティが高まったことから、政府による債券市場への介入の可能性を示唆した。

利益確定が乏しい中で、ビットコインは次の大きな動きを控える

過去最高値を更新する中、ビットコイン市場では過去のサイクルとは異なる兆候が見られている。

11万1,000ドルという高水準にもかかわらず、ボラティリティや大規模な利益確定売りが見られない点に、市場参加者は驚きを示している。

「史上最高値圏でBTCが1%のレンジ内を行き来するだけの相場など、これまでに見た記憶がない」と人気トレーダーのDaan Crypto TradesはXで投稿した。

「この狭いレンジを抜ければ、大きな動きが出る可能性が高い。現時点では買いと売りのポジションが両サイドに積み上がっている。」

BTC/USDT 15-minute chart. Source: Daan Crypto Trades/X

CoinGlassによる注文板の流動性データでも、現値近辺に買いと売り注文が集中していることが示されている。

BTC liquidation heatmap. Source: CoinGlass

オンチェーン分析プラットフォームのグラスノードも、全供給量が含み益状態であるにもかかわらず、長期保有者(HODLer)の姿勢に変化がないことを指摘した。

「BTCが昨日過去最高値を更新した際、利益確定による売却額は約10億ドルにとどまった。これは、2024年12月に初めて10万ドルを超えた際に見られた21億ドルの半分以下だった。価格はより高かったが、利益確定ははるかに控えめだった」

Bitcoin spent volume by coin dormancy. Source: Glassnode

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。