2020年にはアフリカでの仮想通貨(暗号資産)の採用が加速している。アフリカ大陸ではピアツーピア(P2P)取引で2番目の規模となる地域として浮上しており、2つのアフリカの国がチェイナリシスの仮想通貨インデックスのトップ8にランクインしている

しかし、仮想通貨の急成長は、アフリカの規制当局の注意を引くことにもなっている。規制当局が強引な監視を導入してしまえば、現地の仮想通貨企業によるイノベーションを抑えてしまうのではないかという懸念が出ている。

ナイジェリアは2020年のアフリカでの仮想通貨の成長を牽引している。毎週500万ドル~1000万ドルのP2P取引高を記録し、続いてケニアと南アフリカが週間で100万ドル~200万ドルを記録している。

仮想通貨P2P取引所のトップ取引所の1つであるパクスフル(Paxful)は、アフリカは2020年に最も強力な成長を示している地域だと、コインテレグラフに述べている。ガーナやカメルーンのような小規模な経済圏でも劇的な成長があったと指摘している。

中央集権型の取引所でも取引高の急増を報告している。Lunoは先月、ナイジェリアと南アフリカの顧客による取引高の合計が5億4900万ドルを記録した。これは2020年はじめと比べて、49%の増加となっている。また新しい顧客は、2019年第4四半期から2020年第2四半期までに122%増加している。

Lunoのアフリカ担当のゼネラルマネージャ―であるモーリス・レイツ氏は、現地の悪名高い排他的なバンキングセクターに対し、仮想通貨が提供する利点によってその成長が牽引されていると、ビジネスメディアのQuartzに語っている

レイツ氏は、アフリカを拠点とする巨大な労働者コミュニティの中で仮想通貨がますます人気を博していると指摘している。アフリカでの外国為替の送金の高額な手数料のため、労働者の移民たちが仮想通貨を送金手段として使うようになっている。

「私たちが現在目にしている需要は、アフリカ全体で人々が経験する課題の結果だ」

ナイジェリアのラゴスに拠点を置く取引所BuyCoinsは、「国の内外にお金を移動しようとする人々」の成長に気が付いたという。この取引所は今年、仮想通貨の取引高が1億1000万ドルを記録した。2019年全体では2800万ドルだったことから、大幅な増加であることがわかるだろう。

ただし、仮想通貨の人気の高まりは、規制当局による監視も厳しくなることにもなった。アフリカの政策当局者たちの間では、仮想通貨の高い人気に対して、どのように対応するかで意見が分かれているようだ。

今年4月に南アフリカの規制当局は、厳格なライセンスおよび監視要件を課す一方で、仮想通貨を法定通貨としては定義しない規制を提案した。また先週、ナイジェリアの証券取引委員会は、すべての暗号資産をデフォルトで証券として取り扱うガイドラインを提案した

ケニアに拠点を置く取引所Bitpesaのステファニー・ズー氏は、規制強化による投資家保護を歓迎した。「業界が規制され、消費者の信頼と保護を確実にすることは重要だ」と、ズー氏は述べている。

しかしレイツ氏は、強引な規制が導入されれば、この業界でのイノベーションを打ち砕いてしまう可能性があると警告している。

「私たちが望むのは段階的なアプローチだ。規制当局が最初から業界全体を規制したいと考えるのはとても簡単なことだが、イノベーションを抑制する可能性がある。政府がより良い規制を導入できれば、従来の金融インフラとの統合が開かれ、大量採用にもつながる可能性がある」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン